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本屋大賞ノミネート&“あの本、読みました?大賞”受賞。いま話題の小説『カフネ』が教えてくれた3つの大切なこと

今年も本屋大賞のノミネート作品が発表され、多くの注目を集めていますね!中でも特に話題となっているのが、阿部暁子さんの『カフネ』です。

その理由は『カフネ』が、すでに2つの賞を受賞しているからです。1つはショッピングモールなどでよく見かける「未来屋書店」が主催する「未来屋小説大賞」です。

もう1つが、本好きの間で人気のテレビ番組「あの本、読みました?」が、番組内で紹介した本の中から、明日読みたくなった本No.1をきめる「あの本、読みました?大賞」です。

私自身『カフネ』を朝方のファミレスで読み終え、ひとめも憚らずボロ泣きしました。胸がいっぱいになり、しばらくの間『カフネ』の世界から離れられませんでした。

こういう感情に出会えるからこそ、本を読むことはやめられません。

今回、そんな私がいま最も推したい作品『カフネ』を読み、大切と感じた3つのことを中心に紹介していきたいと思います。


あらすじ

法務局に勤める薫子は、弟の突然の死後、元恋人・せつなと再会する。
せつなは家事代行サービス「カフネ」で働いており、薫子も手伝うことに。二人は「カフネ」の活動を通じて、過去や悩みを共有し、互いに心を許しあう関係になる。やがて弟の死の真相や、せつなが抱える過去が明らかになり、二人は向き合うことに。

悲しみの中で希望を見出し、新たな人生へ踏み出す物語。

1.「頼る」ことは弱さではない。

主人公の薫子と急死した薫子の弟の元恋人を名乗るせつなの2人は、家事代行サービス「カフネ」として、様々な問題をかかえた家庭を回ります。

寝たきりの母親の介護をする中年男性
小学生の女の子を1人で育てるシングルマザー
ワンオペで双子の赤ん坊を育てる母親

どの人も1人で懸命に家族を支えようとしますが、限界寸前の状態にあります。その中で自分の代わりに食事の準備・掃除をしてもらうことが、どれだけ救いになるかが『カフネ』では切実に描かれています。

家事代行をしてると何となく人の傾向みたいなものが見えてきますけど、まじめでがんばり屋の人ほど、誰かの力を借りることが苦手です。

出典:カフネ

まじめな人ほど1人で問題を抱えこんでしまいます。また、大変な人と自分を比較して「自分はまだマシな方。」と、気持ちに蓋をしてしまう傾向があるようにも思います。

ツライ気持ちは人それぞれで、比べる必要なんてないんです。

自分がシンドイと感じていれば、その気持ちに間違いはありません。

人に頼るのは決して甘えではなく自然なこと。むしろ「自立」している人ほど、依存先を薄く広く持っているように思います。

2.自分なりの形でいい。大切な人と繋がっていたい。

もしかしたら、この先ずっと1人かもしれない。

私自身、日々の生活のなかで、このような漠然とした不安を感じることがあります。その不安を紛らわすためにも「1人の方が気楽でいいや」と自分に言い聞かせますが、本心は誰かと繋がっていたいんですよね。

本作でも主人公の薫子は、「離婚」「最愛の弟の急死」「親との不仲」から1人で生きていくことを決意します。しかし、かけがえのない人と出逢えたことで、自分なりの“大切な人との繋がり方”を見つけていくのです。

人といると嫌なこと、面倒なこと沢山ありますよね。けれど、その煩わしさ以上に、大切なものをもたらしてくれます。

3.温かいごはんは私たちを救ってくれる

本作は「ミステリー」「社会問題」といった緊張の要素が多いですが、その間に入る「食」の描写が絶妙に緩和をもたらします。

どんなに気持ちが落ち込んでいても、温かいごはんを食べると不思議と力が湧いてきますね。

「食べる」ことは「生きる」ことに直結していると思います。

死ぬまでは生きなきゃいけないし、健康じゃないと生きるのはますます苦しくなる。なるべく快適に生きるためにも栄養は必要。あとね、おにぎりを作れるようになると、人生の戦闘力が上がるよ

出典:カフネ

シングルマザーの貧困家庭に育ち、未来に希望が持てずにいた小学5年生の女の子に言った料理人せつなのセリフ。せつなの言うとおり、おにぎりのような簡単な料理でも作れるようになると、「人生の戦闘力」が上がりますよね。

料理を作る動機はなんだっていいんです。自分の健康を守るためでもいいし、誰かに喜んでもらうためでもいい。「食」は私たちに幸せをもたらしてくれます。

余裕がないと食事が疎かになりがちですが、大切な人と温かいごはんを食べながら今日あったことを話す。

何気ないことかもしれませんが、これってものすごく尊いことですよね!

最後に

ここまで読んでくださりありがとうございます!

「なんとなく装丁はみたことあるし、本屋大賞ノミネート作品で気になっていた」と言うあなた。私も同じような気持ちで『カフネ』を手に取ったら、思いもよらぬ読書体験ができました!

次読む本に迷っていたら是非『カフネ』を手に取ってみてください。

書いた人:Reo


最後までご覧いただき、ありがとうございます。 ぜひあなただけの1冊を探しに、遊びに来てくださいね。