【婚活物語。】本好きのための結婚相談所に入会してみた話(4)入会後葛藤編
#10 私のイライラ
私は今、無性にイライラしている。
職場の隣の席の先輩が、とかく鬱陶しい。これは、あれだ。思春期特有の父親への感情のそれと似ている、ような気がする。とはいえ私は長女で優等生タイプだったから反抗期などはなかったのだけれども。
「何をされたから」とか、そういうことではない。ただ、一挙一動が目についてしまったら、もう全て嫌になる。
たまにそういう日が、ある。
「生理前だったっけ」とルナルナを見たけれど、予定日までは11日前というなんともな絶妙さで、それを言い訳にもできなさそうである。
先週までは、「素敵な出会いが〜」とか、「秋には結婚できるかも〜」とかそんなことを妄想していたけれど、こんな浮き沈みの激しいイライラ女には、旦那様どころか彼氏すらできるか怪しい。
昼休憩は、職場から離れたくて、栄養摂取をしにサブウェイに向かう。ここは、駅から近いのに、ほぼみんなテイクアウトだからなのか、とても空いている。お気に入りの穴場だ。野菜をマシマシにして、エビとアボカドでご満悦になった私は、束の間の休憩時間にもかかわらずインターネットの闇に飲まれていく。
「34歳 結婚 厳しい」
自分でマイナスな言葉を入れているのは理解している。
一番上に出てきたサイトをクリックする。
鬱になる。現実を受け止めましょう。努力しましょう。
そんな言葉を見たくてネットを開いたわけではない。
ではどんな言葉が欲しかったのか…?
サイトに書いてあることはごもっともだし、誰を責めたいわけでもないけれど。
それでも、なんだか、急激にやる気を無くした。
来週には、moonさんとのカウンセリングが控えており、それまでに
プロフィールを書くのと、写真撮影の予約をすることを伝えている。
でもなんか、無理だ。
相談所に入ることを決め、婚活を頑張ると決めたけれど、moonさんから言われた言葉が全部まやかしに思えてきた。ホイホイ乗せられてきている気がして、全部馬鹿馬鹿しくなる。
所詮、きっと私に合う人なんて、いない。
結婚できる人は、きっと若くて、綺麗で、自分のメンタルコントロールができる人だ。「気に食わないから」という理由だけで、人にイライラするなんてそんなこと子供染みている私は幸せになることなんて本当はできない気がしている。
やはり生理前なのか、サンドウィッチを1個食べただけでは全く足りなくて。でも痩せたくて。
葛藤の末、ファミマで、無調整豆乳を買った。昨日、生理前2週間に飲むと、メンタルに効くし痩せると読んだ気がして。だがしかし、全く味がしない。こんなことならココア味にすべきだった。何にもうまくいかない。
#11 私のヘルプ
『佐伯さ〜〜ん!これ、さっしいれ〜〜〜〜〜〜!』
先輩の言葉に、イライラが最高潮になる。だめだ、キレそう。この人は何も悪くないのに。ダイエットしてるのはこちらの都合であって、このチョコチャンククッキーには何も罪なことはないのに…。チョコにすらイラついてしまう。
そんなことしなくていいから仕事のスピード上げてくれよ…そんなことしなくていいからもっと職場の空気読んでくれよ…という気持ちを必死に飲み込んで、お礼を伝える。
『ありがとうございます。ここのお菓子美味しいですよね。』
佐伯舞、34歳。感情と切り離した言葉を発し、営業スマイルをするだけの余裕はまだあったようだ。
就業時間を5分すぎ、電車に揺られて夕飯の支度を考える。
頑張ったから、家の前に最近できた惣菜屋さんでトンカツを買って帰ろうかなと思う。ダイエットとはなんだろう、と思うけれど、先週読んだ本で、トンカツはダイエットに良いって書いてあった気がするから。
なんだか私、誰かの受け売りばっかだな。
こんな、毎日の繰り返し。仕事して、ご飯作って、洗濯して、ため息ついて、お風呂に入って、
YouTube。
何か、こう生活のハリになるようなものはないのかな…と思ってしまう自分がいる。
そういえば結婚相談所とマッチングアプリは併用してもいいのだと聞いた。
さっと会えるような彼氏がいたら、少しはこのモヤモヤも聞いてもらえるのだろうか…。でも、それはこれから頑張ろうとしている自分にも、サポートしてくれると笑顔で言ってくれていたカウンセラーのかたにも、悪い気がする。
どうしようもないモヤモヤを、相談所にヘルプサインとしてそのまま送った。
送ってから、また気づく。
これじゃあ仕事が忙しい、と書いたことが嘘みたいだ。
仕事が忙しいと言いながらメンタルダウンって。言い訳がバレバレかもしれない。
まぁいいや。
「そんなこと言わずに…」と言われるのだろうなと思いながら、ゆっくり画面を閉じる。
#12 脱!自暴自棄
スーパーのそれより、随分肉厚でジューシーなトンカツは、私の心を満たしてくれた。
結局、好きなもの食べて娯楽に溺れて…そうやってやり過ごすことくらいしか、今の私にできることはなさそうだから。
そもそも…なんで、今日はこんなにイライラ、もやもやしているんだろう。なんだか、自分が嫌すぎて泣けてくる。
そんなこんなで、何も答えが出ないままスマホをいじっていると、
相談所から返事が来た。
それも、結構な長文で。
思っていたこととは違う角度から連絡が来て、ちょっと驚く。
食べること、寝ること、温めること、
そんな当たり前のアドバイス…
と思ってしまう自分が嫌になる。
それでも…
ふと、キッチンのシンクもベッドの周り。
散らかった我が部屋。
自暴自棄になっている自分を変えるためには、
「当たり前」のことを「当たり前」にやっていくことから始めるべきなのかもしれないと思った。
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こちらは、事実を基にした完全ノンフィクションです。
登場するのは、架空の人物です。なお、記載のサービスの内容は、BOOK婚のサービスに基づいていますが、時期によっては一部変更になっている場合もございます。
代表カウンセラーのmoonが毎週1話ずつUPします。
読み物としてぜひお楽しみください。
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引用文献:
第4話の途中で紹介していた記事はこちら。