【婚活物語。】本好きのための結婚相談所に入会してみた話(5)プロフィール作成編
#13 婚活仲間
色鮮やかな黄色い菜の花と真っ青な空のコントラストがきらびやかで。そんなふうに思えるくらいには、心がだいぶ軽くなり、塞ぎ込みがちだった私も、随分と前向きになれている気がする。
あれからー。moonさん薦められた本をすぐに読もうとしたのだけれど、Amazonで買うのはなんだか違うなと思い直し、仕事終わりにルミネ10階の本屋さんへ向かうことにした。
何の気なしに雑誌コーナーをふらついていると、みたことのある後ろ姿が。私は今、化粧が取れかけていることを、猛烈に後悔している。
「あれ、舞先輩じゃないですか!!!!!!」
「あ、純ちゃん!久しぶり!!」
純ちゃん。私の三倍の威力で挨拶してくれたこの子は、大学の吹奏楽のサークルが同じだった、学年でいうと2つ下の後輩ちゃんである。
仲が悪いということはなかったが、そういうのより、ただただ再会が久しぶりすぎて身構えてしまう。
市役所の窓口でバリバリ働いているらしい純ちゃんは、最近、これまた同じサークルの修平君(正直あんまり覚えていないけど)と別れたばかりだという。「価値観の相違だったらしい」と風の噂で聞いた。
が、知らないふりを、するのが礼儀ってもの。
「舞先輩は仕事終わりですか?本屋さん!真面目ですね!」
婚活をしていることはあまり人には言いたくない。ましてや、後輩。それとなく流すことにする。
「いや、なんか最近ネットで見た片付けの本を探そうかな〜って。なんかミニマリストになる、とかいいなとか思ってね」
「ええーそうなんですね!
ところで、先輩、最近どうですか??」
ガールズトークの最近、は9割が恋バナだと思うー。が、触れないようにする方法もあるっちゃ、ある。
「忙しくてさ〜部屋が荒れ放題なの!自炊もちゃんとはできてないし…。純ちゃんこそ…どんな感じなの?最近??」
「あ、修平ですか?別れました!フリーですよフリー!なんか、もうそろそろこのままじゃダメだなと思って、私去年から結婚相談所に入ったんですよね〜!アプリじゃダメだと思って。」
え。こんなにもあっさり… 。情報の出し惜しみをした自分を悔やんでも、遅い。
「え、え、これまたなんで?」
「結局、修平が全然結婚する気なかったんです。3年半は同棲してて、結婚しようねってその気にしておいて…でもタイミングタイミング言われて…。ひどくないですか?まぁもういいんですけどね、最後の方は好きな気持ちすらなかったので…。で!最近は順調にお見合いしてるんです!超疲れますけど!なかなかいい人いないんで…」
「…純ちゃん。」
かける言葉がなく、そうつぶやく。彼女は、やっぱり、どことなく少し寂しそうな顔をしていた。
#14 鳥貴族とビールと私
「なんです??慰めてくれるんです?なら、トリキ行きましょ!いいですよね、本はまた今度でいいですよね??」
強引なまでの純ちゃんに、水曜日のトリキは次の日しんどいかも、などと言う時間すらなく、決行が決まった。一日一善。傷心の純ちゃんに寄り添うとしよう…。
とはいえ、せっかくきた本屋さん。純ちゃんに5分の猶予をもらい、おすすめされた本に加えて、店頭で平積みされていた、「手ぶらで生きる。見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法」というミニマリスト界で有名な「しぶさん」の買った。帰りの電車で読み進めよう。(moonさんに勧められた本を買うこと、すっかり忘れてた!)
ということで、鳥貴族にいる、アラサー2人。
その胸の内は同じく。
私たちは、結婚がしたい。
誰でもいいんじゃない、私のことを大事にしてくれる人と、という条件付きだ。
乾杯のビールを一口飲んでから、私は純ちゃんに、打ち明けた。
「純ちゃん、黙っててごめん。あのね…私も始めた。結婚相談所。まだ、何にもできてないけどね。」
本当は、親友の祐実に先に話そうと思ってはいたけど。やっぱり「同じことをしてる仲間」がいるとなんとなく心強かったからー。あとはビールがどうにかしてくれるだろうという思いもちょっぴりあった。
「先輩!大正解です。恋バナ触れていいかわかんなかったから、もー!よかったです!飲みに誘って!!!一緒に婚活して、あ!一緒にママ友になりたいですね〜!!」
可愛らしく微笑む純ちゃんに背中を押されて、
「そんなの無理に決まってるじゃん!」
と笑いながらも…
また、私はちょっとだけ、前向きになれた気がする。
#15 風が吹いてきたかもしれない。
純ちゃんは今、3人の人とお見合いをして、その中で好印象だった1人とプレ交際(これは、結婚相談所で言うところの、お試し期間。同時並行でお付き合いがOKのステージ)をしているみたい。
とりあえず困ったら純ちゃんに聞こう。と思った。
あ、そうだ。
「純ちゃん、先輩に、おすすめのファッションと、いい感じのプロフィールをおしえて??」
と泣きついてみる。
「先輩甘えてます??そのくらい自分でやってくださいよ!」
一蹴された。厳しい。
もはや勢いだ。トリキ後に、純ちゃんと別れ、一人ガストに行く。自分に甘い私は、ブラックコーヒーと迷った末に…抹茶ラテを選択し、それを糧に、自分の取説ー自己PRの文章ーを書いてみることにした。
よし。こんな感じじゃない??
帰りの電車で、勢いのまま、ゾゾタウンでワンピースを買った。もしサイズが微妙だったらそれはその時だ。こういうのは、勢いだ。
ー次の日。
本に影響された私は、久しぶりにビニール袋3袋分の不用品を捨て、代わりに498円で買った花束を飾った。余裕という名のポケットが新たに追加されたような心地である。
買った本を読みながら、moonさんに連絡した。
「プロフィール書きました!服も買えました。今週、よろしくお願いします!」
「やったー」と叫ぶかわいいパンダのスタンプが送られてくる。
久しぶりの人との出会い。
古いものを捨てて、新しいものをお迎えして。
なんだか、運気が上向いてきたような気がする。
婚活、悪くないね。うん。
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こちらは、事実を基にした完全ノンフィクションです。
登場するのは、架空の人物です。なお、記載のサービスの内容は、BOOK婚のサービスに基づいていますが、時期によっては一部変更になっている場合もございます。
代表カウンセラーのmoonが毎週1話ずつUPします。
読み物としてぜひお楽しみください。
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引用文献:
第4話の途中で紹介していた記事はこちら。