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【婚活物語。】本好きのための結婚相談所に入会してみた話(9)活動後の葛藤編

34歳彼氏なし。ワクワクしながら婚活をはじめた佐伯舞は、理想の人から申し込みがこない現実を知り、打ちひしがれる。自分自身も気になる人に申し込みをしてみるが、その結果は芳しくなく、もう辞めようかとまで思ってしまって…

[毎週気まぐれ19時更新]


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#26 私、婚活向いてません。

「moonさん、もう辞めようかと思えてきました。」

気づくと私は、そんな一文を書き始めていた。
私は、きっと婚活、向いていない。

マッチングアプリではそれなりに活動できていたのに、なかなかビビッと来る方から申込されないし、申し込みを受けてもらえないし。そんなことが嫌で、認めたくなくて、早くも逃げ出してしまいたくなっていた。

私、結婚相談所のシステム、向いていないかなって、婚活も向いていないかなって思うんです。」
あきらかに病んでいる書き出しでつらつらとLINEを送ってしまった、のだけれども。

その1時間後に、たまたま予約枠が空いているから一度電話で話そうと提案してもらった。気を使わせている気がするが、乗っかる。お金払ってるのだし、許してほしい。

「いや、びっくりするくらい申し込みが年上の方たちばかりで、、。アプリの頃と違いすぎてびっくりして。私全然需要ないじゃんって思っちゃったんです。みんなこんな感じなんですかね、?」

「あ、あと申し込みはしてるんですけど、全然OK来なくて、これ10日たったら自動でキャンセルですよね??断ってくれないからややこしくて…」

「私。やっぱり向いていないかもです。いいなと思える人もいないし、いいなと思ってもらえてないし、婚活そもそもそれ自体が向いていないのかもしれなくて、、」

ほとんど息継ぎもせずに話した私に、moonさんは言った。

婚活に向いている、ってなんなのでしょうか。

『申し込みがOKされない人は、ただただ縁がなかった。タイミングが合わなかった。それだけのことなんじゃないかなと思うんです。私が男性なら、まずOKしますもん、佐伯さん美人だししっかりしてるし!「私の魅力がわかんない人のことは考えない!」くらい思ってしまっていいのではないかなと思うんです。

『たくさん申し込み来ることが偉いなんてことはありません。たった一人と出会えればいいんですもん。』

私の魅力がわからない人のことは考えない。
正直、そんな発想はなかった。そんな自信ないよ。

それより私。モテたかったんだなと思った。


たくさんの「いいね」(相談所ではいいねではなくて「お見合い申し込み」になるんだけど)が欲しかった。
どこかで、満たして欲しいと思ってしまっている自分がいた。

目の前の縁にもっと目を向けてもいいのかなとは思います。会ってみないとわからないですし、第一印象が最悪でも、そこからものすごく、いい関係を築かれる方もいます。

『周囲から見て最高の相手を見つけることが婚活だというのなら、私は違うと思います。』

婚活とは、自分と向き合うこと。相手に求めていくのではなく、自分で幸せになる方法を探すこと、それが婚活だと、個人的には思っています。誰かのせいにしない。変われるのは、自分だけだと思うんです。』

言いたいことは、わかる。それでも。言いたいことは山ほどあった。

成功者の言葉が並んだ自己啓発本が嫌いな私は、
どうしても、誰かの言葉をそのまま自分にすぐ落とし込むことができない。

moonさんにとっての婚活が自分と向き合うことであったとしても、私はそうは思わない。私にとっての婚活は、やっぱり誰もが羨むような素敵なパートナーを見つけて幸せになることだから。それが傲慢と言われるならそれでも構わない。それでも、大切な人に必要とされたいし、自分を変えてまで誰かと出会いたくなんかない。妥協なんて、したくない。

#27 手放して、広がる可能性

『話を戻しますね。佐伯さんは、どんな人と出会いたいですか?何を軸にして、婚活をしましょうか。優先順位が高いことを2つだけ教えて欲しいです。』

そう言われて、真っ先に思い浮かんだのは、身長だった。

身長にこだわるなんて、と思われるかもしれないけれど、165センチの私にとって、それ以上の男性は魅力的に見える。背の高低で性格が変わるなんて思わないけれど、170以上の男性がいいと思ってしまう、それは譲れないかもしれない。

あとは、やはり年齢だろうか。
「私が34なので、できれば同い年くらいがよくて」
そう告げると、何歳くらいまで上ならOKかと聞かれた。

できれば1、2個上くらいがいい。

「そうなると、佐伯さんは、170センチ以上で、36歳くらいまでの方で探していく、という感じになりますね。」

言葉にされると、それはそれで違う気がする。

「あ〜でも、できたら年収も600は欲しくて。あと住まい的には千葉が有難いなと思うんですよね。東京から満員電車で通うとか思うと…。あと、家族仲がいいのも大事かなと。本好きであればもちろん嬉しいですけど、ご飯食べるのが好きな人だと楽しいかなと思います。食事にお金使えない人は無理ですね。あとは…。」

「佐伯さん。」

「一旦、2個までで教えてもらえたら、嬉しいです。」

そうだった。
婚活をすれば、相談所に入れば、最高に素敵な出会いがなんだかんだ待っている、と思ったけれど。違うのかもしれない。

地道にいろんな人とお見合いして、いろんな人とデートして。
そんなことを続けるしかないのかもしれない。


はぁ。やっぱり婚活向いていない。でも、やると決めたんだ。

譲れない条件は2個までと言われて、私は「年収」や「身長」「千葉県在住」の条件を優先させることは諦めた。

その代わり、「37歳くらいまで」と家族仲が良さそうな人。という軸は大切にしたいと告げた。

(正確に言うと、moonさんに「活動中に誕生日が来ることもあるし」と言われて38歳までOKにすることにしたのだけれども。)

「千葉に今住んでいなくても、佐伯さんのことを溺愛してくれる人と出会えたり、お互いの仲が深まったら、佐伯さんや相手の考えが変わるかもしれないですしね!千葉だけにこだわることはそこまで考えなくても大丈夫かもしれませんよ。」
そんなふうに言われたことで、居住地は少し広めに探そうかなと思えた。

年収にもいったん目を瞑ることにした。私だって働いている。年収だけで人をジャッジするのはなんだか違う気がしてきた。

正直、身長に関しては…moonさんに言わないだけで、こっそり高身長は狙おうと思っているけれど。

#28 間違いだったのかもしれない。

「そしたらそうですね、こんな方はどうですか??」

moonさんからアプリ上で、とある男性のプロフィールが送られてくる。

38歳、東京都在住。
IT関連の仕事、年収480万。
身長169センチ。
趣味は釣りと食べ歩きと一人旅と読書(カズオ・イシグロが好き)
相手に求めることは、同世代までで、明るい方、とある。
顔立ちは、なんとも形容し難いけど、メガネの真面目くん。
妹が2人いて、妹の一人が小学校教員、ということで、moonさん的には、
私の仕事に近いものがあるからいいのではないか、お兄ちゃんとしてしっかりしてそうと思ったのだそう。

自分で申し込みをされたら、迷う感じの方ではある、、が。
話してみたいなと思うポイントがないわけではなかった。

というのも、お父さんが船舶免許を持っていて、たまに海釣りに出かける、というのがいいなと思った。釣りはあまり経験がないけど、人生で一度くらいは船に乗りたいなと思っていて。そんな話ができたら面白そうだなと思った。

「佐伯さん実はこの方、佐伯さんのことを最近お気に入りに登録してるんです。今がチャンスですよ!」
と言われた。

ノリで決めるタイプではない私。
「ちょっと考えてから申し込むか決めます。」
と答える。
その後も何人か紹介をしてもらったり、私にきていた何人かのプロフィールを見て、あーでもないこーでもないと言い合った。

moonさんとの電話を切って、思ったことがある。
「私、きっと同じことされてるんだな」

私のプロフィール見られて、あーでもない、こーでもない、って。
そりゃぁ、誰でもいいや、って申し込んできている人もいるかもしれないけれど、中には、私のここがいい!と思って申し込んでくれた方もいるだろうな。

婚活が自分と向き合うことなのだとしたら。

私は私について、本当にわかっているのだろうか。

私のことをいいと思ってくれた人、お気に入りに入れてくれた人は、
私の何に魅力を感じてくれたんだろうか。

ちょっと、知りたくなってきた。
お見合いの返事をしていない人を眺めてみる。

40歳。営業の仕事をしていて、千葉に住んでいる男性。顔立ちがとってもはっきりしていて、メガネが似合っている。身長は180センチ。ちょっとテンションが上がる。

年齢だけが気になって、申し込みを受けるのを少しだけ躊躇していた人だ。

『会わないと、何にもわからないので』

何度も言われたその言葉。


それもそうだよな、とボタンを押す。

悩んでいたのが馬鹿らしいくらい、
あっさりとお見合いが成立した。


私に婚活はきっと向いてない。
けれど、そう言葉にすること自体が間違いだったのかもしれないと思い直す。

大丈夫。やれる。
行動せよ、佐伯!


事務局のスタッフさん(ブックホテルでも働いているらしい!)とも相談して、船橋にあるカフェにて、来週の土曜日13時に待ち合わせをすることになった。

ソワソワと、どこか落ち着かない日々が始まった。


(続く)

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こちらは、事実を基にした完全ノンフィクションです。
登場するのは、架空の人物です。なお、記載のサービスの内容は、BOOK婚のサービスに基づいていますが、時期によっては一部変更になっている場合もございます。
代表カウンセラーのmoonが毎週1話ずつUPします。
読み物としてぜひお楽しみください。
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