2週間でホテルを開業させた話。【エピソード 2】
あたらしい扉
私は、心配性。極度の心配性。
「支配人」なんて、聞くだけで大変そうで、気が狂いそう。
やっぱり、私に務まるわけがない。
オンライン面接を終えてからというもの、私は、まだ任されてもいないのに、まだ「やります」とお返事したわけでもないのに、「非常事態が起きたらどうしよう」とパニックになっている。
SHIN・PAI・SHO
この言葉は私のためにあるのかもしれない。
戸締まりは3回チェックする。
「あれ、エアコン止めたっけ」
「あれ、鍵閉めたっけ」
そんなふうに、自宅を出た後で途中で折り返すこともしばしば。
「心配事の9割は起こらない」というけれど、
起こりうるすべてのことを想起して、対処法をイメージしておかないと気が済まない。
「先が見えないこと」が一番怖い。
面倒な性格だな、と自分でも思う。
今、ここで決断したら、この変哲のない普遍的な毎日を手放すことになる。
当たり前の日常はどこかに行ってしまう。
でも、きっと。決断したら、決断できたならば。
きっとものすごく刺激的な日々が待っている。
挑戦には、痛みがつきもので、怖くない人なんていない。
誰だってみんな最初は初心者。
どうしよう。頭ではわかってる。でも、決められない。決められない。
普通の小説では、もう小説のこの辺りまで来れば、主人公は心を決めてると思う。
まだ迷ってるんかい!と思われても、もう仕方ない。
でも、許してほしい。私はそんなにキッパリと自分自身を捧げる覚悟ができていない。自分の人生を変えてしまうくらいの判断をするのには、まだまだ時間が足りなすぎる。
だから。
「3人」にだけ、聞こうと決めた。
母。
「本当に大丈夫なの?」と言われるだろうと予測しながら、相談を投げかける。
でも、違った。
「うっおぉー!すごいじゃーーーん!おもしろそーじゃーん!やれやれー!!!」
思いの外、背中を押されてしまった。そして、なんだか楽しそう。
慎重派の父はどうだ。
「神保町か〜いいところだぞー。あの辺にはカレー屋や、スポーツの専門店がたくさんあってな。」
「いつ泊まりに行く〜?いつOPENなんだっけ〜?」
私抜きにして、盛り上がっている両親を見ていると、笑えてくる。
それでも、真っ直ぐ私をみて、伝えてくれる。
「やりたいことなら、応援するよ。」
幸せだな、と思った。ありがたいな、と思った。
ほとんど心が決まりかけた、その後。
最後のプッシュが欲しくて、大好きな先輩にLINEした。
moonちゃんは、普通なんて、似合わない。
普通にとらわれなくていい。大丈夫。絶対に大丈夫だよ。
自分のこれまで、苦手なこと、不安なこと、どんな環境だったら自分らしくできるか。そんなこと全部、話してみたらいい。
それに、どんな経験だって、moonちゃんなら全部何かに活かせるし、
本にできちゃうよ。
1週間後のとある日、歩き出していた。
私は、普通を捨てることにした。
普通を諦めることにした。
新しい扉を、開けることにした。
「来てくれると思ってました。」
そう言って代表は笑う。
これから未知への冒険が始まる。
覚悟を決めた瞬間だった。
コラム
今回は、私が支配人を引き受けるまでの葛藤。
「後悔も失敗も、したくない。」
これ、結構あるあるなんじゃないかなと思います。
新しいことをするときには誰だって怖い。
だから、私はいつだって、人生の決断をするときには本当に信頼できる人に相談しながら乗り越えて来ました。
ちなみに、今回私が相談した「3人目」にあたる先輩には、実は一度も会ったことがありません。
それこそ、「文章」がきっかけで繋がって、もう2年以上。
文章から溢れ出るオーラに魅了され、何度もリプライなどで交流するようになりました。
今では、ZOOMでオンライン飲み会をしながら人生相談をしあう仲に。私にとっていつも大きな気づきをくれる、大切な人です。
私がこんなふうに決断ができたのも、毎日をどうにか歩めているのも、私自身を這い上がらせてくれるたくさんの大切な人たちがいるから。
ありがたい限りです。
いつだって、感謝を忘れない。
そんな当たり前のことを当たり前に意識して、生きていきたいです。
BACK NUMBER
これまでの話はこちらにまとめています。