【婚活物語。】本好きのための結婚相談所に入会してみた話(16)プレ交際の同時並行編
#47 そのLINE、一刀両断。
相澤さん。
安藤さん。
子供が産まれたら出席番号は1番か2番だろうな。
相澤さんならほぼ1番だろうか。いや、でもアイカワさんがいたら…
くだらない妄想を繰り広げながらも、やはり「この2人のどちらかと結婚をする」というのはどこか人ごとに感じられた。相澤舞も、安藤舞もなんだか自分ではない気しかしないが、「安藤舞」はちょっと可愛いか?とか思ってしまっている私がいる。
お見合いの申し込みの数は、露骨に減ってきている。
「最初の1ヶ月が大事」というのは聞いていたが、2ヶ月がすぎた頃からは、確かに申し込んでくれる層が、だんだん変わってきたなと思っている。申し込みをしても断られることが増えてきた。
もちろん、もう少し「数うちゃ当たる」みたいなことだってあるとは思う。
「そろそろピンとくる方がいたらいいな」
祈る気持ちで、お申し込みボタンを押す。出会いはきっとタイミング。諦めるには、まだ早い。
相澤さんからLINEが届く。
もや。
こんなやりとりを、もう3日もつづけている。
いや、いいんだよ、丁寧ですごく…
でもなんかもっとこう…フランクにさ…と思ってしまう。
「佐野さんの方が良かったな」と思ってしまう自分がいて、ほとほと呆れてしまう。あの時には、「いきなり、舞ちゃんと呼ばれて嫌だ」とか言っていたくせに。
私は、どれだけ上からなんだろう。
「減点方式でお見合いすると、マジきついですからね!!!」
こないだ、真剣交際に進んだ純ちゃんからそんなアドバイスももらっていた。
「この人はここがダメ」
「この人はこれはいいのになぁ」
そんなふうにジャッジしていたら、進む恋も進まない。
それは、佐野さんからプレ交際終了を打診された時からなんとなく感じていた。
これは、婚活だ。結婚するための活動だ。変化を起こさないといけない。本気にならないといけない。言いづらいことも言わないといけない。
私からの「歩みより」も、絶対に必要だと思う。佐野さんの時みたいに、なんでも相手に求めてはいけない。
だから。勇気を出した。
相澤さんを、もっと知りたい。LINEのやりとりだけで決めたくなんてない。
相澤さんは、文章だとかたくなってしまうタイプなのかもしれない。
おそらくそんなに女性とやり取りしたことがないのかなと思う。
それならば、電話で話をした方が早い。いつもよりテンションを高めにしてLINEを送る。絵文字もそれなりに盛り付けて。
年上の人に敬語を使われるとなんだか「仕事先の人」という感じがすごいので、早急にタメ口にしてもらいたかった。
#48 本音の電話
ー「ごめんごめん、言いづらいこといわせちゃいましたよね。本当に慣れてないんだよね」
ー「会社の人とのやりとりかと思いました」
ー「本当そうだよね、恋愛経験なさすぎてLINEは男友達しか送らなくてさ。」
ー「これまでの恋愛、どんな感じだったんですか?とか、聞いてもいいですか??」
ー「もちろん!でも、大学時代くらいしかないんですよね。しかも最後振られたし!30代は仕事しかしてなかったし…。舞さんは?」
ー「私は28の時、2年付き合った彼氏に振られて、それっきり。結婚願望がない人だったんですよね」
ー「コロナもあったし、30過ぎての恋愛、結婚、難しいっすよね」
ー「そう!出会いなさ過ぎますよね!」
ー「それで結婚相談所に?」
少しずつ敬語が外れていて、嬉しくなる。
ー「そうそう!友達に勧められて。そのままだとマジで天涯孤独だからマッチングアプリ入れろって言われて。でもねー、あれは向いてなさすぎたね。」
ー「LINEが硬すぎたんじゃないですか?」
冗談を言ってみる。
ー「舞さん、厳しいなぁー!でも、そうかも。そもそも会うとこまでほとんど行かないから自分のスペックのせいかと思ってたけど、やり取りの途中で返信こなくなったわ、そういえば」
ー「相談所は先に会えるから、いいですよね!相澤さん話してて楽しかったので!でもこないだは正直本の話ばかりになっちゃって。」
ー「僕も思ってました!BOOK婚同士なら本の話しないといけないのかと思って、あとからほとんどそれ以外の趣味とか、結婚の話とかしなかったな…と。だからてっきり断られるかと。」
断る予定でした、とは言わない。言えない。笑
電話を提案して、良かった。このやり取り、絶対LINEじゃできてない。
自分から少し行動を起こす。言いたいことがあるなら、ちゃんと言う。
電話以降、相澤さんからのLINEは、ほんのちょっとだけフランクになった、気がする。
なんて送られてきて、ちょっぴりニヤニヤした。
母性本能をくすぐってくる。
カウンセラーさんに連絡を入れた。
相澤さんは、私がガラでもなく「頑張る」ことで関係性が少しずつよくなってきた。
大変だけど、「求めない」を意識しまくっている。
イタリアンのお店の予約も、電話で話す日の日程も、話題も、基本私が全部決めてる。
正直、これが婚活じゃなかったらこんなに頑張らない。リードされた方が嬉しいから。
でも、「察して欲しい」はもうやめたいから。
それくらいなら自分から突き進んで、希望を伝えて、それでどんなふうに進むのかを見てみたいから。
あれから、カウンセラーさんからも、「佐伯さんが変わってきた!!!」と褒めてもらった。相手に求めてばかりだった私も少しずつ、「自分が変わる」ことができているようで、嬉しい。相澤さんのLINEはあいかわらずそんなに面白くないけれど、それでも電話で話した後からは、つまらないLINEすら可愛く思えてきて、「本音を伝えてよかったな」と思った。
#49 モテ期がきたかもしれない?
私、モテ期が来たかもしれない。
秋めく街並みを片目に、ウィンドーショッピングをしながら、舞はなんとなくそう感じていた。
人生で3回あると言われるモテ期。自分では全く気づかないままこの歳になっていたけれど、安藤さんからのアプローチは、鈍感な私でも流石に気づくくらい。
安藤さん。安藤弘樹(ひろき)さんは、多分私に結構惚れてる。と、自分で思っている。
相澤さんとのイタリアンデートが遂行されるのが来週の金曜。安藤さんと会うのはそのあとかなと思っていたけれど、とんでもなかった。
初回デートは気合を入れてイタリアン!とかが王道かと思っていたけれど、1時間スタバくらいなら気が楽だな、とすぐにOKした。
「わがままを言うと」という枕詞がはいってなかったら、「早く会いたい」なんて自分都合すぎる、とか思ってしまいそうだけど、なんとなくその「わがまま」というワードが私の中の母性本能を刺激するというかなんというか…
ーとにかく、気づいたら私は安藤さんの隣でソイラテを飲んでいた。
「こっちの方がホテルのラウンジより落ち着きます」
と話すと
「わかる!俺ああいう畏まったとこ苦手で。赤提灯の店でラーメン食べながら婚活とかしたいくらいです。笑」と安藤さん。
「いいですねそれ!ラーメンならこないだテレビで紹介されてたお店がめっちゃ気になってて!バナナマンの!」
「あ、せっかくグルメ?もしかしてここ?」
画面を覗き合いながら微笑む。
感覚は。間違いなくあっている。
でも。これは恋だけすれば良かった学生時代とは違う。好きになってもらえたとしても、その先には「生活」がある。
佐伯舞、34歳。私はもう学生時代のような恋をしている場合じゃない。
少しでも結婚や子育て、将来の話を進めておきたいと思った。
「 安藤さんは結婚したらどのエリアに住みたいとか、どんな暮らしをしたいとか、そういうのありますか?出身は広島、でしたよね。戻りたいなとかはあるんですか?」
「いえ、しばらくは関東にいたいです。というか、僕がどうこういうより、子育ては絶対に女性側の実家の近くがいいんじゃないかな、とは思ってます。公務員なので比較的育休とかは取りやすいですが、それでも、男にできるサポートはたかが知れてると思うんです。奥さんになってくれる人にはできるだけ無理させたくないので、そういう意味では、相手の実家の近くに住むとか、そういうのでもいいかなとは思いますね。流石に同居とかは気を遣いますけど」
思ってもいなかったセリフが飛び出て、驚く。優柔不断で落ち込みやすい私の人生にはまだまだ母の応援が必要で。このまま実家近くで住み続けたいな、というのは本音だった。ただ、周りの友人たちはみんな旦那さん側の実家近くに引っ越したり、お互いの職場に近い場所に引っ越したり。そうした話ばかりを聞いていたから、少し新鮮だった。
単純に「こんな人がいるんだ」と思った。安藤さんは続ける。
「父は、僕が7歳、弟が3歳の時離婚してるんですが、正直ほとんど家事も育児もしているところは記憶になくて。ものすごく仕事人間で、厳格で。」
「父みたいになりたくない、が心のどこかにあるのかなと思っています。母は実家も遠く、誰にも甘えられない環境で男2人を育ててくれたので。だからこそ、奥さんになる人には子育ての負担ができるだけ軽くなるように、というのは結構僕の中で大事にしているところではありますね。
もちろん育休を僕もフルで取りたいと思ってます。そのためにひたすら信頼を獲得すべく「いい人」を頑張ってます。笑
そう笑う姿に、私の心は少しずつ揺らぎ始めているのを感じていた。
安藤さんと子育てできたら、幸せだろうな
頭の中をよぎるのは、公園で安藤さんと子どもがキャッチボールをしているのを微笑みながら見ている自分の姿。
これはもう、そういうことかもしれない。
冷静になりたい自分を、ソイラテで流し込む。
それから1時間の間、お互い結婚に求めることを徹底的に話し合った。
安藤さんは、仕事は「人生の目標を叶えるための手段」だと言っていて、お父さんのように仕事で人生を潰してしまう選択は絶対にしたくない、というのがブレない軸だった。
自分の新しく作る家族や、これまで育ててくれたお母さんに対しての恩返しをする、というのが前提にあって、住む場所や働き方、生き方全ては、パートナーになる人とお互いにすりあわせて決めていきたい、と。
なんでこの人、独身なんだろう、と思いながら話を聞いていた。粗探しをしたいわけではないけれど、完璧すぎやしないか、と思ってしまう。
こうなったら、長い時間一緒に過ごして安藤さんの本音を知りたい。もっと、もっと知りたい。
「来週の土曜日、今度はお出かけとかしませんか」
相澤さんとのデートの翌日を提案したのは、間違っていたかもしれない、でも。
「舞さんから誘ってくれるの、嬉しすぎます!いきたいところ、いっぱい教えてください!ええ、どこいきますかね!!」
そんなふうに言われると、自分の幸せのために少しくらい策士になってもいいのかな、と思えてきた。
頭の中では、相澤さんとのデートに、どんな気持ちで臨めばいいのか、それとももうお断りをするべきなのか、そんなことばかり考えていた。
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こちらは、事実を基にした完全ノンフィクションです。
登場するのは、架空の人物です。なお、記載のサービスの内容は、BOOK婚のサービスに基づいていますが、時期によっては一部変更になっている場合もございます。
代表カウンセラーのmoonが1話ずつUPします。
読み物としてぜひお楽しみください。
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