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大人の読書感想文。「あの頃」読んだ本をもう一度。

「ブックホテル神保町のスタッフで、読書感想文note大会を開催します!」

支配人のmoonさんの提案で始まったこの企画。

読書感想文、懐かしい〜!

学生時代はどう書いたらいいのか分からなくて苦手だったけど、自由に書ける今だからこそ、楽しみながら、でも真面目に書きます!!

児童書を卒業して、初めて手に取った本で読書感想文に挑んだあの夏

2005年の本屋大賞受賞作で映画化もされ、今でも人気の作品です。
実は私、中学1年生のときにこの本で読書感想文を書きました!

そしてこの本は、ずっと児童書を読んでいた私が初めて手に取った「大人が読む本」でもあります。

中学1年生の夏休み、400ページを超えるボリュームにヒーヒー言いながらも読み終えた達成感は今でも覚えています。

読むのに必死すぎて、感想文にどんなことを書いたのか全然覚えてないし、この本の結末も覚えてない…。

一度読んだ本は、好きな場面だけ読み返すことはあっても、全部を読み返すことはほとんどしたことがありません。

ということで、十数年ぶりに「夜のピクニック」を読んで読書感想文を書くことにしました!

今のほうが読むスピードも速くなったし、感想文だってきっとうまく書けるはず。でも、そんなことで過去の自分と比べても仕方ない!

今読んだからこそ感じたことを書きたいと思います。

「みんなで、夜歩く。」

この本は、全校生徒が夜通し80kmを歩く北高の伝統行事「歩行祭」を描いた物語です。
誰にも言えない「秘密の賭け」を胸に、高校最後の歩行祭に挑む主人公の貴子。
80kmを歩き続ける中で肉体に襲い掛かる過酷さや、子どもと大人の間にいる貴子や友人たちの心情の描写がリアルで、自分も一緒に歩いているような感覚になる1冊です。

みんなで、夜歩く。たったそれだけのことなのにね。
どうして、それだけのことが、こんなに特別なんだろうね。

本文より

作中に何度か出てくる、この言葉。
中学1年生の私には、この言葉の答え以前に、この言葉の意味すら分かりませんでした。

「歩行祭」と共通する、あの学校行事

私が通っていた高校には、北高の「歩行祭」のようなちょっと過酷な行事がありました。
夜通し歩くのではなく、早朝に走る…!!

それは「寒稽古」といって、2学期の期末テスト後、冬休み前の時期に3日間行われます。

朝5時くらいに学校に集合して、学校の周辺を3kmぐらいの決められたコースをみんな各々のペースで走るというもの。まだ暗い時間帯に、反射板付きのタスキをつけた高校生が数百人走っているなんて、知らない人が見たらびっくりするだろうなあ。

寒稽古の期間でも容赦せずいつも通りに授業はあって、真冬の早朝に走るのもキツイけど、授業中の眠気との闘いもまたキツいんです!
眠気の完全勝利でしたが。笑

冬至が近い時期だから、朝は暗いし寒い!そして眠い!!
荷物を置きに校舎内に入ると、外が真っ暗で電気の明かりがただただ眩しくて、いつも過ごしている場所なのに、違う場所に来てしまったような感じ。

外は真っ暗でお互いの顔が見えないから、一緒に走る友達と校舎内で合流して、スタート地点の校庭へ。

頭がぼーっとしたまま走り始めるけど、とにかく寒い!

真っ暗な田舎道だから転ばないように神経を使うし、真面目に走らないと先生に怒られるから、一緒に走る友達と話す余裕なんてない!!

目の前を走る友達の揺れるタスキを見ながら、白い息を吐いて、ただただ走る。

身体が温まってゴールが近付くにつれて、空は明るくなり、友達の火照った顔が見えてくるあの時間帯が爽快で、今でも鮮明に覚えています。

見覚えのある、見慣れた朝が世界を包み、非日常の世界から普通の世界に戻ってきたという懐かしい感じがする。

本文より

夜明け前から夜明けに至る神秘的な雰囲気

本文より

これらの言葉が、今になってはものすごく分かります。

自分の部屋で夜明けを迎えても、こんな感覚は味わえない。
友達と過ごす学校行事だからこそ、味わえる不思議な感覚なんだろうな。

「暗闇」と「青春」

いつも、明るい日中に一緒に過ごす友達。
いつもの顔が見える状態よりも、暗くてお互いの顔がよく見えなくて、
声と「なんとなくそこにいる雰囲気」だけになると、距離が縮まったように感じる。

暗い中で一緒に過ごすのって、特別な感じがする。

だから、修学旅行の夜、消灯時間を過ぎてからの恋バナはいつもより盛り上がるし、
部活が終わって暗い中、一緒に自転車を漕いで帰った友達とは、今でも変わらず仲が良くて、定期的に会っています。

大人になって夜に友達と歩くなんて、たいていアルコールが入った状態だし、さらに歩きながら夜明けを迎えるなんて、終電を逃したとか、財布を失くしたとか、とにかくボロボロな状態でしかないと思いませんか?笑

歩く(走る)時間帯だけじゃなくて、歩く場所も、特別だったんだなと思います。

昨日から歩いてきた道の大部分も、これから二度と歩くことのない道、歩くことのないところなのだ。

本文より

高校生のときに走ったあの道。
車の免許を取った私たちは、田舎のあの道を歩くことはもうないはず。

ましてや、あんな寒い時期に、早朝に、走ることなんてないんだろうなと考えると、辛かった「寒稽古」もいい思い出になっているから不思議です。

みんなで、夜歩く。たったそれだけのことなのにね。
どうして、それだけのことが、こんなに特別なんだろうね。

本文より

その答えが、今になってやっと分かった気がしました。

昔読んだ本を読み返すということ

学生の頃によく聴いていた音楽も、今聴くと歌詞の意味がよく染みる〜
と感じたことはありました。

その感覚を本でも味わえるなんて!

一度読んだことがある本なのに、別の視点から全く違うことを感じた、新しい読書体験でした。

児童書を卒業して初めて読んだ思い出の本が、再読の楽しさを知った思い出の本になりました。

終わりに

いろんな思い出を振り返っていたら、なかなかのボリュームになっていました。笑

BOOK HOTEL 神保町には、私が読書感想文に選んだ「夜のピクニック」はもちろん、読書感想文にぴったりな本がたくさんあります!

読書感想文の本がまだ決まっていない学生さんは本を選びに、もう読書感想文を書き終えた学生さんは、来年分の本の下見に、ぜひぜひ来てください☆


そして、当館での読書をもとに、ぜひ感想文をnoteで書いてみてくださいね!!

ご予約はコチラから!!!


執筆:石原

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