ただの本好きな私が、11名の小説家を招待するイベントのリーダーになっちゃった話
本が大好きな私にとって、小説家の先生は、遠い遠い雲の上の存在。
いつか「書く側」の人になれたらな~という思いを抱いて、BOOK HOTEL 神保町で働きながら、本を読んだり文章を書いたりしています。
これは、そんな小説家に憧れるいち読者の私が、ひょんなことから、超ビックイベントのリーダーになってしまった、奮闘の日々の記録ー。
面白そうなプロジェクトに「ちょっと」参加のつもり。
2023年1月上旬のある日。
支配人のmoonさんにそう言われました。(いつだって、いきなり…!)
楽しそう!とは思いつつも、
「イベントって何をするんだろう?」
「小説家の先生!?私が関わっていいレベルの存在じゃない…」
という不安が頭の中でぐるぐるぐる…。
そんな私の心の中を読み取ってくれたのか、moonさんは
と言ってくれて。
「面白そう!お手伝いならできそうかな!」と、単純な私は、二つ返事でOKしました。
その時点では、どんな先生方が来るのか、そして自分が何を担当することになるのか、何もわかっておらず…
ここに至るまでの流れを聞いてみると…どうやら、
・弊社の代表が石川智健先生とお友達だった
・石川先生は推理作家協会U45クラブの会長で、イベントを開催する場所を探していた
・BOOK HOTELでイベントを開催しよう!!となった
ということらしいのです。知り合いだった!ってすごいな…!そして、あれ..!?
石川智健先生…って、
ついこの前、読んだばっかりの作家さんじゃん……!!!
えぇ!!!イベント当日、会えちゃうの?すごー!
そして、京極夏彦先生もいらっしゃるとのこと。
とんでもない規模、、!!え!?え!?
とかなんとか思っていたら、代表とmoonさんと石川先生のグループLINEにあれよあれよと招待され、
その日は代表もmoonさんも都合がつかず、
5日後に!石川先生と!1対1で!打ち合わせ???をすることに!?!?なってるぞ!?
とんでもない状況…!とは思ったものの、
「ま、打ち合わせに代理で参加するかんじだよね!」
「話した内容をしっかりメモして、抜けなく漏れなく伝達するぞ~~~!」
「緊張するけど頑張ろ~~~!」
というテンションで臨みました。
当日、ソワソワしながら石川先生をお出迎え。
(緊張して直前まで何度も水を飲んでいました。笑)
最初は(わあ…今、小説家さんと喋ってるんだあ…)と頭の中がポワポワ。
いざ、イベントの当日のざっくりとした流れや、イベントまでに準備することなどを話していたら、ふつふつと湧き出す緊張感。
一言一句聞き逃さないようにメモをとって、無事に打ち合わせは終了。
石川先生をお見送りして、ほっと一息……
……ん???
(((やることいっぱいだけど、時間足りるのかな…??)))
この日は1月20日。イベントの開催は3月18日。
開催まで2ヶ月切ってるのに、やること多い~~~!!
あれもこれもやらなくちゃ!リーダーは…私!!???
この時点で、イベントまでにやらなきゃいけないことをざっくりまとめてみると…
イベントページを作り、公開する
現地参加者・オンライン配信参加者の募集方法を考える
当日提供する飲食物の発注
zoomでオンライン配信をする準備・練習
当日の流れの確認
調べながらグループLINEで情報共有、やりとりをしているうちに、私は薄々気付いてしまいました。
これは…?
私、担当者っていうより…リーダーになってる…!?よね!?
moonさん、これは「ちょっとしたお手伝い」ではないぞ!?!?
うっすらとした疑問はやがて確信へと変わり…
こうして、私はビッグイベントのリーダーという、絵本に出てくる王様が座るような、とんでもない椅子に腰を下ろしていたのでした…!?!?
イベントページとの格闘
まずやらなきゃいけないこと。それは、イベントをよりたくさんの方に知ってもらうための、イベントの概要を掲載するHPをつくることでした。
HPを作るのって、神様レベルの知識がないとできないよね…
外注したらいくらかかるんだろう?
そもそも、外注って誰にどうやって頼むの??
ひとりで考えていてもどうにもならなかったのでmoonさんに相談してみたら、詳しい方がいると繋いでくれ、協力を仰ぎながら、いろいろ聞いてみることに。
どうやら、テンプレートを使えばけっこう簡単に作れるようで、試しにやってみることに。
とはいえ、「いやいや、まるで初心者の私には無理だよ」と思いつつもいじり始めてみたら…
あれ。見栄えは悪いけど、なんとなく形になっちゃった…!?のです。
周りから「え!?サイト作れるの!?すごい!!」と言ってもらい、ニヤニヤ、、
したのも束の間…。
見栄えの微調整に、めっちゃ時間かかる!!!!
パソコンで見るといい感じなのに、スマホで見るとズレてる…
スマホでいい感じになるように直したら、今度はパソコンでズレる…
そんなことを繰り返してパソコンの画面に向き合い続けたら、元々ひどい肩こりが悪化し、肩甲骨周りが鋼のようになりました。泣
なんとか形になり、イベントページを公開。
ポチ!!!
ページを公開したときの達成感だけでも、人生で味わった達成感ランキングの上位には入るんじゃないかと思います。
そんな私の力作はこちらです!!
ぜひ見てください!!
人生初のホームページ作りがこのビッグイベントのページだなんて、こんな経験したことがある人はなかなかいないでしょう。笑
宣伝したい!時間足りない!!
イベントページの公開とともに、Twitterでイベント開催の告知をしました。
ツイートしてすぐに、リツイートやいいねがたくさんついて、通知が騒がしい…!!!
とはいえ、応募までの宣伝時間が全然足りず…。
応募期間中に宣伝ツイートの追い討ちをかけ、BOOK HOTEL の内外にチラシを貼り、泥臭くジタバタと宣伝を頑張りました!!!
練習しまくったzoom配信
このイベントは現地参加に加え、オンライン配信も行うことになっていました。
zoom配信を見たことはあっても開催したことなんて、もちろんなく…。
ここで助けを求めたのは、かれこれ15年ほどの仲になる、一緒にいるといつもくだらない会話で盛り上がる友人・Mさん。
Mさんは仕事でzoom配信をバリバリこなしているプロで、このときだけはふざけるのを封印して、真面目に!配信に必要なzoomのセッティングを教えてもらいました。
また、以前当館で開催した一語フェスでお世話になった堤さんにもアドバイスをいただきました。
そして、本番までは何度も何度も配信の練習を重ね、
音声が聞こえない…
画面が上下反転している…
アーカイブを残せない…
Q&Aが表示されない…
などなど、本番で起こったらえらいことになってしまう問題たちを1つずつ潰していきました。
不安なことがどんどん湧いてきて止まらない…泣
こうしてひとつひとつ未知のことをクリアしていきましたが、
本番の2週間ほど前から、ソワソワと不安が止まらず…。
不安を打ち消すために、
こんな案内を館内に掲示する必要があるな…
あれもこれも用意しなきゃ…とやることがどんどん増えていって、ちょうどホテル業務が忙しくなった時期とも被り、時間が足りないー!
最悪の事態をどれだけ想定しても不安は尽きることがなく、不安で不安で..。どうしようもなく心配しまくってました。
アドレナリン大放出で全力疾走した当日
こうして恐る恐る迎えた当日。天気は雨。けっこうな土砂降り。(私は雨女です…笑)
イベント用の掲示物を設置したり、先生方の控え室を準備したり、飲み物を準備したり。分かってはいたのに、当日はやっぱりバタバタ…。
そうこうしているうちに、先生方が続々と到着。
先生方が目の前にいる!!しかも何人も!!
私いま、すごい方たちとお話ししてる!
そして、先生方、皆様優しすぎる〜〜!!
緊張や不安でいっぱいだった心が満たされました。
そして、現地参加のゲストをお迎えし、あっという間にイベント開始!!!
実はzoom配信に使ったiPadの充電がなくなりそうでソワソワしたけれど、無事に配信も終わり、一安心。
その後は、先生方やゲストとお話しするなど、イベントを楽しむ余裕もありました!
そして交流会では、なんと私のために!!サインもいただきました。泣
とにかく当日は目まぐるしく過ぎていき、前日までずっと頭の中をぐるぐるしていた「どうしよう」を考える暇もありませんでした。笑
イベントが終わり、疲れてすぐに眠れるかな〜と思いきや、アドレナリンがすごくてなかなか寝付けず。笑
翌朝は、宿泊されたゲストや先生方をお見送り。
「楽しかったです!」と声をかけていただき、疲れも寝不足も吹き飛びました。
最高でしたありがとうございます!!!!
ここからは…後日談。
【後日談】私が、イベントを経て学んだこと。
無事にイベントが終わり、達成感はものすごくあったものの、なんだか、ぽっかり穴が空いたような…。
イベントに関わることが決まってから、全力で駆け抜けた日々を思い返してみると…有名な作家さんたちが集う大きなイベントを開催することのプレッシャーから、頭の中は常にイベントのことでいっぱいになっていたみたいで…。
その後の私は、完全に…燃え尽きてしまったようでした。
ということで、ここからは、イベントを通じて私が感じたこと、学んだことについて最後に書き連ねていきます。
「人に任せる」ことから、逃げてはいけない。
そういえば、今回のイベントに限らず、大学の卒業式の謝恩会の担当になったときも、自分ひとりで抱えてしまったな…とふと思い出しました。
(そのときに学びを得られていれば…というのは自分が一番分かっているので触れないでください泣)
何かを任されると、自分の思い通りに進めたいというこだわりが強い私。
そして、自分のイメージを他の人に伝えて指示することが苦手だから、「自分がやったほうが早い」と思って苦しいのについ自分で動いてしまう。
良く言えば「責任感が強い」のかもしれないけれど、周りから見たら「手伝いたいのにどうしたらいいのか分からない」と思われてしまう状況、いわば「壁」を作っていたなあと感じます。
「イベントの準備どう?」「大丈夫?」と聞かれても、
「大丈夫です」「なんとか~」って答えていたっけ。泣
いやいや、全然大丈夫じゃなかったでしょうが~~!
そこで最近読むようになったのが「リーダーの行動」や「任せ方」についての本。
自分がやったほうが早いけど、そうやっていると自分の仕事がどんどん増えてしまう。
完璧な仕上がりじゃなくてもまずは任せてみること。
何冊か読んでみて、どの本にも同じようなことが書いてある!
今までの自分の考え方のままじゃダメなんだなと痛感しました。
任せるための指示出しのコツも学べたので、現在実践しているところです。
感情と「向き合う」ことの大切さ。
燃え尽きた私に、「ぜひこれを読んでみて!」とmoonさんが私に薦めてくれたのが、「感情はすぐに脳をジャックする」という本。
読んでみたら、目から鱗!!!
これまでの私、感情に脳をジャックされまくっていた〜〜〜!!!
「どうも、感情に脳を乗っ取られた人間です〜!!」と叫びたくなりました。笑
HSPの傾向がある私は、不安やイライラ、緊張などの感情がすぐに生じやすいという自覚があります。
ストレスとしていろんな情報をキャッチしちゃうくせに、その情報を処理するのが下手で、すべて「不快なもの」として抱え込んでしまう。
そして、抱えきれなくなって大爆発してしまう。
「拾わなくてもいいゴミをたくさん見つけて拾って、分別することもゴミ箱に捨てることもできずに、両手が塞がって盛大にぶちまけてしまう」というイメージです。(うん、我ながらめっちゃいい例え!笑)
どうして「不安」に感じてしまうのか。自分の感情を整理して原因を見つけること。今までの私、「感情」についた考えたことなんてなかったな。
生じた感情が新鮮なうちに、客観的に冷静に見つめてみること。
なんか今相手にイラッとしたけれど、私が相手に「◯◯してほしい」と勝手に期待していただけだったな、と考えられるようになったり。
原因が分からなくても、少し整理して誰かに伝えるだけでもだいぶスッキリするなあと実感したり。
感情に向き合うことで、感情を溜め込まずに精神状態を常に一定に保てることに気付いた28歳・革命の春となりました。笑
そして、ここからは、私の「気づき」をホテルの仕事に活かしてみた学びについて書いてみます。
それぞれが取り組んでいることを可視化することから、始めてみる。
私が「ぜんぶ一人でやらなきゃ!」状態になっていた原因として挙げられるのが、「みんなそれぞれ抱えているタスクがあって忙しいから頼めない」と思い込んでいたということです。
それは、他のスタッフも一緒だったみたいで…。そこで、タスク管理のアプリを使って、今誰が何に取り組んでいるのかが分かるようにしました。
その人がこれから着手すべきタスクも見られるので、もし自分が手伝えそうなことがあれば声かけもできる!
日々のホテル業務に漏れがないようにもチェックもできるし、なんで今までやってこなかったんだろう…と思ってしまうほど。
また、個人のタスク管理以外にも「今後こういうことをやっていきたい!」をみんなで羅列していくリストもあるのですが、みんなのアイデアが溢れ過ぎて大変なことになっています。笑笑笑
みんな、アイデアマン。
雑談の時間をつくれば、コミュニケーションが生まれるから。
もうひとつは、スタッフが顔を合わせる機会を増やすこと。
私たちはシフト制でホテル業務も行っているため、「みんなが集まって話し合う時間」が今まであまり、ありませんでした。
そこで、どんなに忙しくても、雑談やミーティングを定期的に開催するように。
ミーティングでは、各々のタスクの進捗状況を確認するだけではなく、日々の困りごとや気になっていることなど、些細なことでもいいから話すようにしています。
「こう思っているのは自分だけかも」と思わずに共有すれば、問題そのものへの解決策を出し合えるし、思いを吐き出すことでストレスを溜め込まずに済むし、メリットばかりだなと感じています。
最後に
準備期間の葛藤やら、終了後の感情の変化やらをつらつら書いていたら6,000字を超えてしまいました…!!!
この記事を書こう!と思ったときには、こんなにボリューミーで内容も濃くなるとは思っていませんでした。
紆余曲折ありすぎましたが、
自分やBOOK HOTEL 神保町がパワーアップしていくための学びを得られたこと、そして何よりも小説家の先生方とお話をする機会が得られたので、こうやってイベントに関われてよかったなと思います。