【婚活物語。】本好きのための結婚相談所に入会してみた話(12)交際成立編
#35 まいちゃん
佐野さんからLINEで提案があった。
おお。積極的。
多分どこの「まいさん」もそうだと思うけれど、これまでの私のあだ名は「まいまい」
元彼からもそう呼ばれていた。
「まいちゃん」
そう呼ばれることに、別に抵抗があったわけではない。
親しくなってる最中だし、全然問題ない。
でもなんか…「まいさん」ならまだしも、「まいちゃん」っていきなり距離詰めすぎでは…?とモヤモヤしてしまう。
いや、嬉しいんだけど…敬語もそろそろ取りたいなと思っていたし…。
なんだか悶々としてしまう私は、久々の男性とのやりとりということもあってか、なんだかあまり素直になりきれない気がしている。
とはいえ、せっかく(おそらく勇気を出して)提案してくれたのだから、断るのも失礼だろう。
聞くと、
と。普通じゃない呼び捨てってなんだ。皮肉めいたことを思ってしまう自分が嫌になる。
なんて返そうかと迷っていると、追い打ちでLINEが届いた。
・・・。
嬉しい提案のはずなのに。
なのに。
なんか、無性に疲れている。
これまでは可愛く見えていた絵文字やスタンプが、途端に鬱陶しくなってくる。
や ば い。
理由はないのに、LINEがどんどんつまらなくなってきている気がした。
なぜだろう。
次のデートでどこに行くか。話題をシフトした。
お見合いの時に話したカフェも話題にあがったが、お互いに2週間後の土曜日の夜しか日程が合わなそうで、今回はイタリアンを食べに行くことになった。
頭の中がぐるんぐるんしている。
結局敬語取れてないし、なんか変なんだよな〜、仲人さんに距離詰めるように言われたのかな?
そもそも、付き合った経験とかあるんかな?
2週間先の土曜日夜しかダメって、もう絶対お昼は他のアポ(婚活)ってことでしょ?
というか、お店ぐらいリサーチしてほしいんだけどなぁ。
だめだ。
今までずっとLINEが楽しかったのに。
だめだ。
ようやく進めたと思ったのに。
デートが楽しみに思えてこない。
イタリアンはさすがにおごりってわけにいかないよね?などと考えてしまう。
ああ。
「婚活は楽しい」とmoonさんは言ったけど、「楽しめる人もいる」というだけなのではないのか?と思った。
みんな頭の中では
「あーお金が飛んでくー」とか思ってるんじゃなくて...?
「あーなんか疲れたなー」とか思ってるんじゃなくて...?
いろいろと聞きたいことはたくさんあるし、言いたいこともたくさんある。
でも、年上だしほぼ初対面だし。
失礼かなと思って聞けないし。
私、ストレスがたまってるのかもしれない。
ううん、違うな。
私の中で多分「まいちゃん」はすごく大事な人から言われたい言葉だったんだと思う。
ものすごく恥ずかしいけれど、 私がまいちゃんと言われたい人は、きっとこの人じゃない。
この年になって、何をそんな乙女みたいなことを言ってるのかと自分が恥ずかしくなる。
そうこうしているうちに、祐輔さん…いや、佐野さんから、千葉駅からほど近くに位置するイタリアンレストランに行くのはどうか?と連絡があった。
「千葉 デート オススメ イタリアン」と検索すれば、1番上に出てくるような、王道デートスポット感が否めない。まぁ、行ったことはないけれど。
いや、私性格悪くないか?
せっかく決めて送ってくれているのに…。
なんでこんなに拗らせているんだろう??
ちなみに、結婚相談所のルールで、プレ交際に進んだのに1回もデートしないで、お別れをする場合は、違約金が発生するというものがある。
聞いた当初は、「なんだそりゃ?」と思ったけど、今ならわかる。
まさに今の私みたいな人がいるからだ。
お見合い後の燃え尽き症候群。
LINE後の「蛙化現象」ってやつも あるのかもしれない。
確かに1度もデートせずに別れるのはさすがに失礼だ。
とはいえ、気持ちが全く前向きじゃない。こんな状態で会うのも失礼ではないのか?とも思えてきて。
だんだんまた病みモードに突入しようとしてしまっている私がいた。
#36 成婚者に学べ
そんな時...
「成婚インタビュー」なるものが公式LINEから送られてきた。
会員さんたちがどんなふうに活動し、どんな葛藤があって成婚まで行ったかがストーリー仕立てで書かれている。
さすが本好きの結婚相談所。文章に対する熱量が凄まじい。
ちょっとした暇つぶしにと読み始めたのだが、気づいたら、いろんな方の成婚体験談を片っ端からスクロールしてしまっている。
そして、例のごとく、落ち込むのである。
みんな、あまりに私の対局だったから。
成婚者の方はもっとポジティブに婚活を捉えていたし、受け身というより、自分からどんどん思ったことを言っている印象があった。
まいちゃんと呼ばれてモヤモヤしてます、お店のチョイスがなんだかな…と思ってしまいます…なんて、そんなこと気にしてるような人たちじゃないんだろうな。
また落ち込む。
インタビューを眺めていて一番衝撃的だった言葉はこれ。
「いやそんなことある!?」
気づくと、口に出してしまっていた。そんなこと絶対あり得ない!
だけど…。
会ったことなんて一度もないのに、成婚者の方たちに背中を押されている気がした。
「ほら!!進んでごらん!大丈夫!」そんなふうに言われているかのような。
気づくと、LINEでスタッフさんにメッセージを送っている私がいた。
#37 モヤモヤしたままいらっしゃい。
次の日の朝、スマホの通知には、華やかな絵文字が楽しそうに踊っていた。
そういえば、今度ライフコーチを紹介しますねってmoonさん言ってたっけ。
はなさん、どんな人だろ。ライフコーチとは、はて…。
聞くと、はなさんは、BOOK婚の専属ライフコーチという立ち位置で、会員の「思い込み」を打破するための「コーチング」を実施しているようだ。
要は、自己分析の手助けをしてくれているのだという。
わかったような、わかんないような。
早速予約をとり、少しだけ行動できた自分を褒めたくなった。
とはいえ… 今何に悩んでいるのかと言われれば、よくわからない。
どうしよう…と思っていると、はなさんから連絡があった。
え、心の声漏れてた?と思いながらも、はなさんの優しさに甘えることにする。
少しずつ緑が深まっていく街の様子を眺めながら、
「こんなんでうまくいくのかなぁ、婚活」
そう、つぶやいた。
*
こちらは、事実を基にした完全ノンフィクションです。
登場するのは、架空の人物です。なお、記載のサービスの内容は、BOOK婚のサービスに基づいていますが、時期によっては一部変更になっている場合もございます。
代表カウンセラーのmoonが毎週1話ずつUPします。
読み物としてぜひお楽しみください。
▶️マガジン登録いただくと、続きがすぐに見れます!
▶️主人公が登録していた、BOOK婚のLINEはこちら。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
更新のお知らせは、各種SNSから。
Twitter:@book_konkatsu
https://twitter.com/book_konkatsu
Instagram:@book_konkatsu
note:https://note.com/book_konkatsu