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《読書の秋2022》今読みたい小説特集

「読書の秋」とはよく言ったもの。もはや冬なんじゃないかというくらい、先日までの暑さは何処かに行ってしまいましたね。

「読書の秋」の由来として有名なものは、8~9世紀の中国の詩人、韓愈(かんゆ)の「符読書城南詩」の一節。

この詩には、「長雨が上がり、涼しい風が吹く秋が来て、ようやく灯りの下で読書を楽しめるようになった」という内容が書かれています。

昔の人も、暑い夏が終わり、ゆっくりと本を読める秋の訪れを楽しみにしていたのかもしれません。

そこで、今回は、心地よい風に吹かれて読みたくなるような、そんな爽やかで、前向きになれる本をご紹介します。

清々しい感動も、秋の夜長には、より一層濃く味わえるはず。

読後の爽快感をぜひ、ご堪能あれ!

爽やかな感動が味わえるおススメ本3選

①翼をください 上・下 原田マハ

原田マハさんといえば、美術関連の小説が人気ですよね。

しかし、彼女の作品で私がイチオシしたいのがこの本!

いたってシンプルな空の表紙とあらすじに、最初は「飛行機で世界一周するんだな」ぐらいにしか思っていませんでした。

なのに!
もうね、バッサリ裏切られました

世界初の世界一周飛行に挑もうとするニッポン号のクルーと、大西洋単独横断飛行を達成したアメリカ人女性パイロット。

まず、2つの史実を絡めてオリジナルを創るという発想と、その融合度合いがパーフェクト

そして、もう、情景描写が圧巻なんです!

みるみるうちにストーリーに引き込まれ、出てくる全ての光景がくっきりと思い浮かびます。まるで、映像を見ているかのよう。

クルーの覚悟、エイミーの覚悟。

言葉が通じる、通じないとか関係ない。

真の友情は国境を越えるんだ。

世界はひとつなのだから。

最後は信じられないほど涙が止まりませんでした。
何日も感動の余韻に浸った小説は初めてです。

信頼と勇気のヒューマンドラマで感動したい人、原田マハさんの他のジャンルに興味のある人は、ぜひ読んでみてください。

②フーガはユーガ 伊坂幸太郎

伏線回収王!伊坂幸太郎。
いつも思うんですが、頭の中どうなってるの?!

「面白い本が読みたい」って時につい手に取ってしまうのって、伊坂さんの作品なんですよね。だって、ハズレがないんだもん。

読む前から「絶対面白い」とわかっている安心感って、すごくないですか?

珍しくダークで悲しい描写が随所に見られる本作。
しかし、「悲しい」だけでは終わらせないのが伊坂幸太郎です。

今回もやってくれましたよ。
散りばめられた伏線が後半一気に回収されていく様は、毎度のことながら気持ちがいい。

そして、

「伊坂幸太郎史上、もっとも切なく、でも、あたたかい。」

のキャッチコピー通り、悲しいけれど感動が残る、読み終えて「ジーン…」と余韻が広がるお話です。

人よりも辛い境遇で育った双子が、困難に立ち向かう姿、人を助けようとする純粋さに胸を打たれました。

風我と優我、どこまでかっこいいの(泣)

あー、最後、そう持ってくるなんて……

ずるい。

双子の絆。
他人のために自分を差し出せる強さ。

勇気と強さ、優しさがいっぱい詰まった1冊です。
じんわりと心に沁みわたる感動を、ぜひ体験してみてください。


③スーツケースの半分は 近藤史恵

幸運を呼ぶ青いスーツケースが紡ぎ出す、9つの物語。

スーツケースを介して、それぞれが新たな人生をスタートさせる様には、思わずほっこり。

どの登場人物にも「わかる〜!」と感情移入しやすく、彼女たちの成長を応援せずにはいられません。

読後は心がスッキリ爽やかに洗われ、身体が軽くなったような感覚を覚えました。

状況を変えたいなら、自ら動く。

文にすればたったこれだけのシンプルな行動。でも意外と実行できていないことに気付かされます。

「なんでこう、上手くいかないんだろう…」
「自分はこのままでいいのかな…」
「やってみたいこともあるけど、この歳で今さら…」

そうやって私たちは、知らないうちに行動することを諦めています。

でも、そんなの、もったいない!

たった一歩踏み出すだけで、世界はガラッと変わるんだから。

自分の可能性を自分で決めつけるなんて、ダメだ。

物語に出てくる女の子たちも、その一歩をつかむために行動します。

読めば心がふわっと軽くなり、ポジティブでキラキラした気持ちにさせてくれる。

何かやりたいと思っているけど、躊躇している人、勇気を持って一歩を踏み出す気持ちを取り戻したい人におすすめ。

「あなたの旅に、幸多かれ」

すべての女性へ、最大のエールです。

読書に秋晴れの爽やかさを

過ごしやすい秋は、五感で感動を体験するのに持ってこい。爽やかな小説で、心も身体もエナジーチャージしてみませんか?

ライター:murayama_カナダ在住webライター
(Twitter:@murayama_canada)

編集:moon(Twitter:@moon_webwriter)


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