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2週間でホテルを開業させた話。【エピソード 1】

オンライン面接。


「今年の12月、本がテーマの棟ホテルを、東京のド真ん中、神保町駅すぐの場所にオープンする予定なんです。」

あれから、1週間が経ち。
私は生まれて初めて「Googlemeet」(ZOOMと何が違うかいまだによくわからないオンラインミーティングツール)を使って、ホテル運営会社の代表と話をしていた。

なんでも、神保町の街を盛り上げるべく、本がコンセプトのホテルを作る、そうで。

ひとしきり、ホテルや仕事内容を説明してもらった後で、
私は、相当に、迷い始めていた。

神保町。ブックホテル。東京のど真ん中。

聞けば聞くほど、力がみなぎってくる。
この話をワクワクしないで聞くことは、本好きである以上無理だろう。


だがしかし。聞けば聞くほど、同時に恐ろしくもなってくる。

そんな一大プロジェクトの、重要なポストの依頼を、どうして私に?


任せるなら、きっと他の方の方が。

「moonさんなら、と思ったんです。」

私の心の声を読まれているのか、代表がはっきりとした口調で伝えてくれた。

私にスカウトメールを送ってくれた理由。

それは、私が8月に出版したばかりの本を読んでくれたことがきっかけだったそうで。

「本を読み込みました。言語化力がさすが、と思いました。このホテルを任せるのは、最強に本のことが好きで、そしてコンテンツを生み出す人がいい。ホテルでの経験もあるmoonさんに、ぜひ来てほしいと思ったんです。」

有頂天な私。お世辞だとしても、言葉はそのままに受け取るようにしている。だから、素直に、嬉しい。

「ありがとうございます。嬉しいです。でも」

一気に引き込まれ、吸い込まれ、気づいたら私は。

「仕事内容に非常に興味があります。やってみたいと強く思います。」
と声高に伝えていた。

あれ、私、転職の予定なんてなかったはずだぞ?
だけどもう、止まらない。

そして、続けた。

「ただ…」

「ただ?」不思議そうな声で聞き返される。

「不安です。」

「私はのめり込みすぎるところがあります。気付きすぎて、見えすぎて、自分を見失うことがあります。それに、超心配性で、マルチタスクが苦手です。支配人なんて…つとまる気がしません。」

燃え尽きてしまわないか、心配だった。
ただでさえ、変に完璧主義なところがある。お客さんと関わる仕事だと、
「喜ばせたい」その一心で自分を犠牲にして働いてしまう。

ましてや、支配人。責任感で押しつぶされて、どうにかなってしまいそうだ。


「それは、安心してください。支配人とはいえ、moonさんに任せたいのはコンテンツ作り。本を読んで、企画をどんどん作ってほしいです。そもそも、目指しているのは、従来のホテルじゃない。コンテンツが接客する、そんなホテルを作りたいんです。人の手でしか生み出せない、本の紹介文。これは半永久的に使うことができる。機械ができることは、全てDX化する。本好きにしかできない新しいおもてなしをmoonさんに作ってほしいと思っています。」


コンテンツが接客する。

そんな魅惑的なフレーズに、これまで出会ったことがあっただろうか。

アルバイトも含めて、これまでいろんな業種を経験してきたけれど、どこかいつも物足りなさがあった。

私が「やりたい」と思った企画に対して「経験を積んでから言って」と冷たくあしらわれたこと。効率化を図ろうと提言しても、「昔からのやり方に従ってほしい」と一蹴されたこと。

私は、「挑戦したい」と、ずっと思っていた。タラレバとか、伝統とか、そんなものを取っ払って。私にしかできないことをしてみたかった。

今、ここで、踏み出せば自分の思ったことを形にできるのかもしれない。

とはいえ、まだまだ決めきれない私。

「なんとしてもmoonさんを口説き落とします!!!どうしても、本が好きな方じゃないとダメなんです。本好きが本を選んで、その本が接客するホテルを作りたいんです。この挑戦は、moonさんの夢である、ベストセラー作家になるためのチャンスだと思います。」

誰かに必要とされるということを誰よりも幸せに感じる私にとってみれば。

三度の飯より本が好きで、本に囲まれて生きていきたい、書いて書いて、生きていきたい。そんな私にしてみれば。

「言葉にすれば叶う」と聞いて、なるべくいろんなところに書いてきた夢。

「ベストセラー作家になる。」

それがこんなにも早く、少しずつ、音を立てて歩いてきてくれたなんて。
嬉しいけれど。急に扉がひらけたら、萎縮してしまう。
ますます今の自分の進む方向が、わからなくなった。



「ひとまず、考えさせてください。前向きに、とっても前向きに、検討してみます。」


気づいたら、面接はゆうに2時間を超えていた。


(続く)


⇩前回のお話はこちら


コラム

初めて弊社の代表と面談した日のことを書きました。
普通、めちゃくちゃ緊張するだろうに、フランクに話してくれるのが嬉しくて、ついつい語りすぎたのを覚えてます。(気づいたら、本棚から本を引っ張り出してきて、好きな本紹介を始めてました。)

本編では私は強く、「私になんてできっこない」「作家として成長するためにやってみたい」と葛藤しています。

でも実は、どうしても気になるポイントがもうひとつあったのです。

それは、、占い。笑

ゲッターズ飯田さんの占いで2022年は転職と引っ越しがNG!と書かれていたのです…「裏運気の年」とのことで、あまりに大きな決断をすると、これからの12年に響く…と。
単純な私は、それが気がかりで気がかりで…。

「占いでは、今年は転職がダメって書いてあって。来年とかなら…」と代表に伝えていました。苦笑


ゲッターズさんお願い←
私、2022年で転職しちゃったけど、頑張るから…!
どうか、良い運気をば!!!笑

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