「絵画」を紐解くためのオススメ入門書3冊
読書は、知らない世界へ通じる玄関であり、知っている世界の裏口でもある、と思う。
私が最近ハマっているのは、「絵画」。そのきっかけをくれたのは、実は、とある入門書の存在でした。
もちろん、絵画を見て何を思い、考えるかは、誰かに強制されるものでありません。ただ絵を見るだけでも、もちろんよし。想像をふくらませるのもまた味わい深い。
でもそこに、1冊の書があったらどうでしょう。
本で絵画を楽しむとは?
何もかもに疲れた時、無心で絵画を見ていると、ゆたかな色彩やしっかりとした筆遣いが、やさしく心を慰めてくれます。
だけど。
絵画を眺めていると、色々な感情が沸き起こってくるもの。
「すごい!きれい!」と単純に感動することもあれば、「どうしてこんなに心がしめつけられるんだろう」と切なくなることもあって。
「この絵はなにを意味するのか」そんな疑問が浮かぶこともあるでしょう。
そういった「!」をより深め、「?」を解決する、それが鑑賞のための入門書の魅力です。
楽しみ方は簡単。
パラパラめくって、好きなところの解説を読む。それだけ。
暗記する必要はありません。
このnoteでは、絵画を楽しむための本のおすすめを3冊挙げていきますので、気になる本があったら、ぜひ目を通してみてくださいね。
絵画を楽しむ入門書3選
絵画の見かた 池上英洋
表紙に裸体の女性が描かれているので、ちょっとびっくり。
けれど、その絵画にまつわる謎や時代背景、約束事などについて、ひとつひとつ丁寧に教えてくれるので、読んでいくうちに疑問が解決します。
まるで美術館を音声ガイドつきで回っているような感覚に浸れます。
あの有名なモナ・リザについての説明も!
モデルの女性は誰だと言われているのか?
薄いヴェールをかぶっているのはなぜか?
後ろに広がる風景は何なのか?
今まで何となく眺めていた名画も、見る目が変わること間違いなしです。
西洋絵画の鑑賞事典 佐藤晃子
美術館で楽しく絵画を鑑賞する方法について、やさしく伝授してくれる本です。
はじめに「美術館でどんな風に絵画を見ていいかわからない」という人向けの鑑賞術が載っており、初心者に嬉しい内容となっています。
そして14世紀から20世紀までの年代順に、68作品の名画と鑑賞ポイントが掲載されています。
なんとなく聞いたことがある美術用語についても学べますよ!
絵画に描かれた神話の登場人物をあらわすモチーフや、目印となる道具のコラムもあって、美術館へ行く前に読んでおきたい本のひとつです。
怖い絵 中野京子
2017年に兵庫と東京で開催され、話題になった「怖い絵展」。
その元となったのが、「怖い絵展」を特別監修した中野京子さんによる書籍、「怖い絵」シリーズです。
パッと見て、「怖い!」と思うものだけでなく、解説を読むと「こんなに怖かったの!?」という絵画が、時代を超えて集められています。
実は、私も2017年の「怖い絵展」へ行きました!
これが、本当に怖い!怖いんです……!
16歳という若さで処刑された9日間の女王、ジェーン・グレイ。
切り裂きジャックの寝室の謎。
洗礼者ヨハネの首を欲するサロメ。
まさに、恐怖の坩堝のど真ん中にいるような衝撃でした。
何も知らなかったらスルーしてしまいそうな絵画も、しっかり解説を読んでから改めて見てみると、背筋がすうっと寒くなってきます。
知識があると、もっと絵画が好きになるんだな、と気づいた展覧会でもありました。
2007年に初版が出た「怖い絵」シリーズは、2019年までに6冊が出版され、版を重ねています。
それ以外にも、中野京子さんは、「名画で読み解く 12の物語」シリーズや「運命の絵」シリーズなど、数えきれないほどの絵画解説本を執筆されています。
鑑賞者に押しつけないのが絵画の魅力
美術が誕生してからこれまで、数えきれないほど多くの画家が、懊悩や苦悶の果てに生み出した絵画たち。
絵だけでは堪能しきれない部分を「知る」ことで、すっかり魅力に取り憑かれてしまいました。
絵画との付き合い方を教えてくれた入門書は、私にとって、とても大事な本となりました。
今回ご紹介した3冊だけでなく、絵画を解説している本は、カラー印刷がとても綺麗です。
そうして知った絵画を、あらためて美術館で見た時の感動といったら!
…ぜひ騙されたと思って体験してみてくださいね。
この世の中にはコンテンツがありふれていて、興味があることは、まだまだたくさん。どうか、すてきな入門書との出会いがありますように。
お読みくださり、ありがとうございました。
ライター:なずなはな(Twitter:hana_nazuna)
編集:moon(Twitter@moon_webwriter)