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【婚活物語。】本好きのための結婚相談所に入会してみた話(13)プレ交際、初デート編

「まいちゃん」と呼ばれることへのモヤモヤが溢れ、急にまたネガティブモードに突入してしまった佐伯は、婚活へのモチベーションがどんどん下がりつつあった。

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#38 もやもや…本当のトコロ。

「わぁ~!佐伯さん!!今日はありがとうございます!!ライフコーチのはなといいます。よろしくお願いしまーす!

‥‥ライフコーチとか言われてもよくわからないですよね…?」

ここのスタッフさんたちはみんな、明るい。つられて笑顔になる。頷きながらも自己紹介を簡単に済ませる。

「ライフコーチは、あなたの人生のための伴走者です。
例えば、スポーツのコーチですと”優勝目指すぞーー!”とか、”記録更新するぞー!”とか、ダイエットコーチだと、”目標体重目指すぞー!”みたいなイメージがあると思うのですが、

ライフコーチは、あなたの人生の目標を、「あなたらしく達成すること」を考えてサポートしていく役目があります。

moonから、佐伯さんのことは色々と伺っております。ふふふ。今日は、佐伯さんのどうにもならないモヤモヤをひとつひとつ深掘りしながら、一緒に解きほぐしていけたらと思います。」

私の人生の目標か…そんなたいそれたものはない…
いや、本当はみんなから羨まれるような結婚がしたい、というのはあるのだけれど。

はなさんから最初に体調を尋ねられた。

「疲れてたり、寝不足だったりすると、小さなことを悪い方に考えがちなのですよね。そもそもニンゲンって体力に余裕がないと、自分を守ることを優先する=現状維持を保とうとする=マイナス思考で自分を守る、という流れになるようなんですよね…。なので、皆さんに最初に伺うようにしているんです。」

そう言われてみれば、最近ものすごくネガティブになりがちだし、人を責めてしまいがちなのは…寝不足もあるのかもしれない。

「木造アパートの2階に住んでいるんですが、最近引っ越してきた隣の住人の声がものすごくうるさくて…。声っていうか、動画とか全部聞こえるし、管理会社にクレームを入れても、全然治らなくて。そうですね、最近は諦めてましたが、睡眠の質がすごくいいということはないと思います。」
ここ2週間、しっかり寝ることは諦めている、というのが本音である。
騒音(と思っている)自体は深夜2時になると消えるので、それに合わせて寝てしまえばいいと思っている。

イライラしていた時は、突撃してしまおうかと考えたけれど、果たしてそんな勇気があるはずもなく。

そんなことをつらつらと話す。

「え~!まじですかー!それ、めちゃくちゃしんどいですね!もっと早く寝たい日もあるでしょうに、他のことして時間潰してるんですよね?そんな中婚活も進められてるなんて…。佐伯さん、偉すぎです…!お隣に文句言いに行きたいくらい!」

はなさんが共感してくれる。そういえば誰にもこの話はしていなかったから、なんだか嬉しい。正確にいうと、職場の人や親には話したこともあったけれど、その時は「耳栓買えば?」とか「手紙入れれば?」とかそういう解決方法ばかりを言われたので、「聴いてもらえたな」という感じはなかった。
人には、一刻も早く解決して欲しいときとただただ共感が欲しい時がある。
誰にだって、ある。

「深夜まで、何をされてるんですか?」
はなさんにそう問われ、
はて私は何をしているのだろうと思いたつ。

夕食を食べ終わり、そこからお風呂に入って、大体21時か22時。でも、寝るのは2時。
前はお気に入りのドラマを見るのが楽しみだったけれど、最近は気づいたらテレビはつけていない…。
ということは、私、4時間以上スマホいじってることになる!?

これには自分でも自分に引いてしまった。こわい。

スマホでしていることと言っても、佐野さんや純ちゃん、母とのLINEの他にはインスタかTwitterか、はたまたYouTubeか…ショート動画とか…その繰り返し。せっかくBOOK婚に入ったのに、小説含め買った本たちは綺麗に本棚に収納されたままだ。

そこで見ているコンテンツは…消費しているコンテンツは…もっぱら
誰かの幸せエピソードとか、効率よく仕事をするためのメソッドとか、誰かの不幸漫画とか、そんなところ…。

情報過多な状態で、知らず知らずのうちにご自身を苦しめていたのかもしれませんね…。しかも、隣の騒音も相まって…それは、ストレス溜まっても、もやもや溜まっても、仕方ない気がします。その習慣を変えることができたら、体内時計も、メンタルの状態もリセットされそうですね!」

ごもっとも。なんで気づかなかったのだろう。

はなさんは「まんがでわかる自律神経の整え方/小林弘幸」という本も教えてくれた。疲れてる時は漫画、ありがたい。

そして…佐野さんのこと、もやもやしていること、デートの行き先もっとこうして欲しかった、呼び方は直接会った時に聞いて欲しかった、などなど…佐野さんに対して思っていることを打ち明ける。

はなさんは続ける。

「佐伯さんの状態は、もちろんわかります。でもきっと、自分がどう言う状態なのか、どうして欲しいのか、どこに行きたいのか、佐伯さんが言わないと、佐野さんが察してくれることは難しいです。ましてや、一度お見合いで会って、LINEしているだけの関係で、何が喜んでくれるポイントで、何が地雷で…みたいなこと、絶対わからないと思うんですよね。
正直、眠れていないお話を聞くまでは、私も今日はガッツリお説教しちゃうところでした!笑」

はなさんが冗談めかしてそう笑い、「え〜」と私も釣られて笑う。

「ちょっと厳しいことを言うと、婚活にコミットしていただきたい期間は、だいたい最初の3ヶ月なんです。佐伯さんが、距離をつめるタイミングが早すぎると感じたのは、もしかしたら、その期間を意識されてのことなのかなと私は思います。」

「佐野さんも、佐伯さんに他に相手がいるのかも、と思っていて、必死にアピールしてくれているのかもしれません。その気持ちを受けておきながらも、受け身でいるのはちょっと危険です。佐野さんに、もっとこうしてほしい!と思う気持ちがあるなら、我慢しないで伝えていかないと!悶々としていたら、深まる関係も深まらないなと思います

そうこうしている間に、佐野さんが他の人とお見合いしていたり、プレ交際しているかもしれませんよ~。誰かに取られちゃうかもしれないのは、お互い様というのが婚活のしんどいトコロなんです。もちろん、会いたくないと思うなら断ってもいいし、次に行ってもいい。でも、せっかくなら、二人の関係が本当にこれ以上進展しないのか、お互いに気持ちをぶつけ合った上でどうなっていくのか、試してみる…というのもいいと思うんですよね~。

はなさんの言葉を聞くまで、どこか私は上から目線だった。
佐野さんに相手がいるかも、と思わないことはなかったけれど、私、わがままだった。

自分、自分、になりすぎていたし、きちんと要望も言わないまま、自分を知ってもらう努力もしないまま、相手に求めてばかりいた。

その夜、相変わらずXを開いてしまう私に飛び込んできたのは

「相手を条件で見ていると、あなたも条件で見られるよ」

という、苦々しい、でも真理の言葉だった。

ぎくり、という音が聞こえた気がして。

いろんなことに蓋をするために、Amazonで注文しておいた耳栓を差し込んで深く、深く眠った。

お隣さんは今日は外泊しているのか、それとも耳栓の効果なのか、その夜は深く、久しぶりに目覚ましなしで起きれた私は、昨日より少しだけ、少しだけ前を向ける気がしていた。

#39 私を知ってもらうためのデート

佐野さんと千葉駅で待ち合わせる。

「佐伯さん、待った??」

あれ、呼び方…

そうか、呼び方を変えたからリアルで会うのはこれが初めて。きっと佐野さんもLINEでは結構「頑張ってくれていた」んだな、と思い知る。

「いえいえ!さっき来たところです…と言いたいですが、私は心配性なので、実は30分前から駅ビルをぶらぶらしてました」

「え〜待たせちゃってるじゃん!ごめんね。」

適度に敬語が崩れていく感じは、心地いい。

「まってないですって!本当に、いつも電車が遅れたら…とか考えて早め行動しちゃうのが癖なんです…。なので本当にお気になさらず!」

「なんか、真面目だねぇえらいねぇ」
まるで妹を見るかのような表情でニンマリしてくれる。

店に入り、席に着く。
メニューを眺め、店員さんを呼び、スマートに注文をしてくれている姿を見ると、少しだけカッコ良く思えてきてしまうから不思議だ。昔から、彼氏ができると、自分のために注文をしてくれたり、次に乗る電車を調べてくれたり…みたいな、「私もできるけど、でもやってくれること」みたいなのに男気を感じるタイプだった。

私が私でいるために。私が私を嫌いにならないでいるために。
お酒が入る前に切り出すことにした。

「佐野さん、ごめんなさい。私…

こないだから、LINEのテンション、低いですよね。なんか、名前で呼ばれて、いきなり距離詰められたかも、って思ってしまって…そこからどんなふうにコミュニケーションとっていいのかとか、わかんなくなってきて、それで…」

ドギマギしながらも、自分の胸の内を話す。自分の家のことも踏まえ、先週はイライラして不眠がちだったことも言い訳として添えながら。

佐野さんは、頷きながら聞いてくれていた。

「ごめんね。名前で呼びたい、ってあれ、自分でも後からキモかったかな〜と反省してて…。LINE始めてすぐだったもんね、ごめんね。LINEだったから結構頑張って提案してみたんだけど、後から自分で恥ずかしくなってきてしまって。その後、まいちゃ…佐伯さん全然乗り気じゃないから、自分だけ舞い上がってるのかもとか思ってしまって自己嫌悪で…。しかも、そんな状況だったんだね、ごめんね気付けなくて。」

「俺、全然恋愛経験が…お恥ずかしいくらいにほぼなくて…、だから年下の子と付き合う、あ、これ付き合うって言っていいのかな…そういうのも初めてで…だから結構良くある恋愛指南書に書いてあること、そのままやってしまってたかも。佐野さんが何が嫌とか、どんなこと求めてるとかさ、全然わからなくてさ、俺男兄弟だし、色々疎くてさ。だから、なんでも言ってね。」

不器用な佐野さんの言葉に、少しだけほっこりする。でも、そんなに謝らなくていいのに…。

そして、そっか…、なんとなくそんな気はしていたけれど、恋愛経験ないのか…

何歳までに結婚したいのか、子供欲しいのか、家族の話…
お酒を飲みながら、いろんな話をした。

正直、佐野さんの方が結婚願望も、子供は欲しい願望も、結婚して相手に求めるものも、とても強く、大きく感じられた。

デートは楽しかった。お酒もご飯も美味しかった。言いたかったことも、言えた。

奢ってもらえて、嬉しかった。

将来の結婚相手になり得るか、と聞かれたら、それはよくわからなかった。

#40 何かが吹っ切れて。

次の日。
昨晩のデートのレポートを書いていく。面倒だけれど、カウンセラーさんに
どんな会話をしたのか、どんな気持ちなのかを伝えるためのツールであるからしっかり書いて欲しいと言われていた。

moonさんも「ここにどれくらい解像度高く書けるかどうかで、結婚までスムーズかどうかが変わってくる。」
「ぎっしり自分のことを深掘りしている方もいれば、ご飯おいしかった、しか書いていない人までいる!デートのご飯の味には興味ないのよ!
」と笑っていたっけ。

moonさんに文句を言われなさそうなくらいの分量でレポートを書き終え、アプリ画面で最近入会された人のプロフィールを見ることに。

正直、佐野さんとのプレ交際が始まってからは、あまり他の方とのお見合いをくまないようにしていた。
理由は特にないが、そんなに器用じゃないから。
でも、こういうシステムなんだもの。他にも申し込みとかしてみるかな、と思いたつ。

結婚相談所の中であれば、真剣交際までいかなければ、二股をかけようが三股をかけようが、誰にも文句は言われない!

少しだけ婚活にも慣れてきたのか、一気に10人に申し込みを入れてみた。

すると、BOOK婚からメッセージが届く。

「こちらの方、佐伯さんにピッタリかと思い、ご連絡しました!池井戸潤さん、柚月裕子さんをよく読んでいらっしゃる、BOOK婚会員様です!最近入会されたばかりなので是非是非!」

自分では検索画面に出てこなかった方だから、紹介は嬉しい。
柚月さんは私も何冊か読んだことがあるし、池井戸さんはドラマを齧るようにみている。
お見合いでは話が弾みそうだ。
あまり深く読み込まずにOKし、申し込みボタンを押す。


最近隣の家がやたらに静かだと思ったら、どうやら出張なのか、家を空けているらしい。

これも何かのチャンスかもしれない。
翌週からの気合いを入れるために、今日の午後は自分を癒す日にする。

ダラダラの根源であるスマホをカバンの奥にしまい、午後のスケジュールを思い描く。この後は、カフェに出掛けて積読の消化でもすることにする。




その夜。久しぶりに婚活から離れて自分時間を堪能した私に、届いたメッセージは全部で4件あった。


いろんな意味で、あいた口が塞がらない。


お見合いが成立しました。
お見合いが成立しました。
お見合いが成立しました。

3件のお見合い…。

そして、もう1通は….

佐野さんが…


「交際終了を希望している」らしい。



こちらは、事実を基にした完全ノンフィクションです。
登場するのは、架空の人物です。なお、記載のサービスの内容は、BOOK婚のサービスに基づいていますが、時期によっては一部変更になっている場合もございます。
代表カウンセラーのmoonが毎週1話ずつUPします。
読み物としてぜひお楽しみください。
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