「本当に今のままでいいの?」自分で選べるこの時代に、働く意味を考えさせられる小説3選
あなたは、なんのために働いていますか?
生活をするお金をかせぐため
誰かの役に立つため
社会との繋がりを感じるため
このように働くひとの数だけ理由がありますよね。
ただ、「働く」ことは”目的”ではなく”手段”にしかすぎないと思います。
なにが言いたいかというと
私たちは幸せになるために「働く」のではないでしょうか
自分がした仕事で誰かに喜んでもらえたり、役に立ったとき、なにものにも変えられない充実感をもたらしてくれます。
仮にそう思えなくても、自分で稼いだお金で好きなことをしているとき、幸せに感じるのであればそれでいいんです。
ただ現実問題、日本は仕事を神格化しすぎるあまり、自分の大切なものを犠牲にして働かなければならない側面もあります。
体調が悪いけど周りの人に迷惑をかけてしまうから休めない。急な仕事で家族や友人との予定をキャンセルしてしまうなど。
仕事だからと言って、自分自身、大切な家族、大切な友人をないがしろにしてはいけないと思います。
もし、自分の大切なものを平気で侵害してくるような場所にいたら、そこからは逃げたほうがいいです。そして自分が安心していられる場所を見つけるまでは、探し続けるべきです。
一昔前までは1つの企業で定年をむかえるまで働くことがスタンダードでしたが、今は多様な働き方ができる時代になっています。
”幸せのカタチ”は自分にしかわからない。
だから自分が幸せになるためにも、自ら考え選択していくことが大事なんです。
そこで今回は働く意味を考えさせられる小説をテーマに紹介します。
手紙屋
これから社会に出るあなたへ
就職活動に出遅れ、将来に悩む大学4年の西山涼太は、「やりたいことを実現する手助け」をしてくれる『手紙屋』の存在を知る。『手紙屋』とのやり取りを通じて、涼太が「働く」ことの本当の意味を学んでいく物語。
私自身、就職活動をしたのが10年以上前になりますが、この作品を当時読んでいたら、今とは違う人生を歩んでいたかもしれません。
就職活動をするさい「なにがやりたいか?」「自分の強みはなにか?」と考えますが、まだ働いたこともないのに、そんなこと聞かれても心から納得する答えなんて出ませんよね。
本作でも主人公の涼太は、やりたいことが決まっていないなかで、就職活動をすることに疑問を持っています。そんな風に思いながら、面接に臨む日々を過ごしていたときに『手紙屋』と出逢い、涼太の運命が変っていきます。
生きていると、そのつど壁が立ちはだかります。ただ、壁にぶち当たっても決して恐れることはないんです。
だって、その壁はあなたが頑張って生きている「証」であり「誇り」だから
人生に迷っているとき、本作はきっとあなたが進むべき道を照らしだす灯台になってくれるでしょう。
わたし、定時で帰ります。
毎日残業があたり前のあなたへ
絶対に「定時」で帰ることをモットーに働く主人公のお仕事小説。
吉高由里子さん主演でドラマ化もしています。
日本人は遅刻にはうるさいのに、残業にはわりと寛容ですよね。
本来なら定時に仕事を終わらせるひとのほうが能力が高いはずなのに、なぜだか残業しているひとの方が「頑張って働いている」と思われ、評価されるケースもあります。
本作の主人公東山結衣の幸せは、定時で仕事を終わらせ、行きつけの中華料理店のハッピーアワーでビールを飲むこと。
どんなときでも定時で帰る結衣は会社で”変わり者”扱いされています。これはある意味、日本社会特有の残業に対する美学を皮肉っていますよね。
残業が「悪」といっているわけではありません。
どうしても仕事が終わらないこともあれば、目の前のことに集中して気付いたら遅い時間になることもあります。
ただ、「周りが残業している」「やる気があると思われたい」といった理由で残業をしているのなら、本作を読んで働きかたを見つめ直してもいいかもしれません。
定時で仕事を終えて、大事な人と会って、おいしいものを食べて、ゆっくり休む。
これって物凄く幸せなことではないでしょうか?
れんげ荘
早期退職に憧れているあなたへ
主人公キョウコは仕事に疲れ、45歳で大手広告代理店を早期退職する。仕事をしていたころは、お金に糸目をつけない生活をしていたが、退職後は一転して家賃3万の風呂トイレ共同のアパート「れんげ荘」で暮らす。「本当の幸せとはなにか?」を考えさせられる物語。
近年「FIRE」という言葉をよく聞きますよね。
「FIRE」とは「Financial Independence, Retire Early」の略称で、若いうちにお金を貯めて早期退職し、会社などの勤め先に依存しない生き方です。
様々なしがらみに縛られる会社員にとっては、憧れる生き方かもしれませんね。苦手な上司や同僚と顔をあわせなくていいし、毎月の売上目標を気にすることもない。
好きな時間に起きて、好きなときにご飯を食べ、好きな場所に出かける。
一見、天国のような生活に見えますが、キョウコは仕事を辞めてから自らの存在意義について「なにをしているかわからない人」と思い悩みます。
それだけ「職業」は、その人を語るうえで重要であり、キョウコのように自分が何者かが分からなくなるのかもしれません。
働いていると嫌なことも沢山ありますが、いざ辞めてみると仕事でしか味わえない充実感や、人との繋がっていることのありがたさに気付くんでしょうね。
ライター:Reo