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【婚活物語。】本好きのための結婚相談所に入会してみた話(3)

#7 婚活は、自己分析が9割です。

日曜日。珍しく早く目が覚めて、洗濯物を回す。誰でもない、自分のために丁寧に珈琲を淹れた。松戸駅前に新しくできた「どうぶつ珈琲」にフラッと立ち寄り、何気なく買ったブレンド。いい香りがしてくると、イライラも不安もどこかに消えてしまう気がするから不思議だ。

お気に入りのデニム地のワンピースと、職場で着ている白シャツが嬉しそうに風にたなびいている。苦さと甘さの中に優しさを感じながら、ゆっくりとした時間を過ごしている。

漠然とだけれど、思ったことがある。
私はきっと、こんな日に、隣にいてくれる人に出会いたい。
顔やスタイル、給料…多くは望まない。けれど、私が私らしくいることは諦めたくない。お互いに幸せを感じる時間はそれぞれ。そんな時間を大切にしあえるような人の隣にいたい。そう思っている。

▶️これまでのお話はこちらから。


昨日。相談所と契約を交わし、私は晴れて相談所で活動を開始することとなった。家賃とそんなに変わらない入会費。正直、後悔したらどうしようと困惑したけれど、思い切った。

いざ始める、という時に言われた言葉。

「佐伯さんは、10年後、20年後、どうなっていたいですか?
なにか、叶えてみたい夢は、ありますか?」

10年後…44歳…54歳…私は誰の隣でどんなことをしているのだろう。全く、わからない。面倒臭い私のことを愛して、ずっと連れ添ってくれる人なんて、見つかるのだろうか。そもそも、この質問に、今から答えられる人はいるのだろうか。

自分が何も考えて生きてこなかったような気がして落ち込む。

moonさんは、そんな私をみて『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド』という八木仁平さんの本を薦めてくれた。

「婚活は相手探しという方がいますが、私は究極の自分探しだと思っています。婚活は、自己分析が9割、じゃないかなと。
まず、私たちは相手を変えることはできません。相手にあれこれ求めるより、自分自身を変えるしかない。
そのために何ができるか?

本を読むしかないかなと思ってます。

自分の価値を低く捉えてしまうと、私なんて…となりがち。佐伯さんは佐伯さんでしか、なし得ないことがある。だから、まずは、自分が何が好きで、何が得意で…

そんなことを考えていくのがいいと思います。
副業を始めたい方などにもお勧めしてるのですが、まずは徹底的に自分の取説を作りましょう。自分が1番自分詳しくなる。自分の勝負する場所を見つけて営業できるようになる。そのために。」

「はっ!話しすぎました..すみません!!つい」
と笑うmoonさんをみて、つられて笑ってしまう。

結婚はゴールではなくスタートだと、誰かが言っていたけれど、
これは、結婚相談所も同じだ。相談所に入ったことで、劇的に何かが変わることはない。

相談所に入っただけで何もしなかったら、過去の自分と同じだ。塾に入ったことで安心して、自宅での勉強時間が圧倒的に減った中2の時。あれだけ親に通わせてほしいと懇願した割に、志望校には届かなかった。塾に入れば受かる、そんなことはなかった。自分に合った方法を選んで、自分で努力するしかない。

そのために、私は私を知らないといけない。
いつだって中途半端だった私は、自分で自分に鞭を打っていかないといけない。

「やるっきゃないか」

それから…
日常の片隅に、いつも婚活のことがよぎる日々が始まった。


#8 『婚活での宿題』

moonさんからの宿題は、自己分析の他にも
いくつかあったけれど、
時間がかかりそうなものは大きく分けて3つー書類集め、自己PR、スタジオでの写真撮影ーだった。

何と結婚相談所では、「独身証明書」とやらが必要になるらしい。

検索してみたら、本籍からの取り寄せになるということで、すぐに集められないと知って、萎える。こればかりは相談所に非はないとは思うが、やりたいと思ってからスタートするまでに時間がかかると、冷めてしまう人もいるだろうな、と。

「それだけ、結婚にまっすぐ向き合っている真面目な方がたくさんいるんです」
とmoonさんは言っていた。

多分嫌になってやめてしまうような人はここで弾かれるのかもしれない。
遊び感覚で入るには、あまりに面倒だから。そういう人は、決まりばかりある相談所より、確かにアプリで手軽にやった方がいいと思った。

 住民票に、免許のコピー、 卒業証書の写し、 源泉徴収票。
これらを順番に集めていく。どれも「嘘をつかない」ためにあるんだろうな。アプリに書いてある医者の数は日本の全ての医者の数より多いとか言ってた気がする。
流石に、ここまで集めればそういうことはないとはわかった。

私は、きっと、
お金と引き換えに安心や大切な時間を得ている。

結婚する気がない人との出会いや、騙される時間。そうしたものから身を守るために、こうした場所が生まれたと思うと、根が真面目の自分に、このシステムはあってるのかもなと思った。

だがしかし、

問題はここからだ。

システムに登録するために、自己PRの文章を書き、スタジオに予約を入れて、写真を撮らねばいけないというのだ…

嫌だ。
何が嫌って、全部嫌だ。
文章を書くことは苦手だし、
写真を撮られることも苦手だし…

ヘルプを求めるつもりで、相談所にLINEを送る。

「写真とか、自己PRとか…どうすればいいのかわからなくって」

送ってから、これじゃあまるで、会社員の新人じゃん、と恥ずかしくなる。

服装はどちらがいいと思いますか?とか、
ここまで書いたのですが、続きはどうすればいいのですか?とか。
聞き方はもっとあったよな…

あとは、ネットで検索してみても良かったか…

相談所とはいえ、もっと相手に時間を取らせないような聞き方はあったよな〜と自分を責めつつ、とはいえ送ってしまったものは仕方ないので、
せめてもの申し訳なさを全力謝罪スタンプとして表現する。
苦し紛れに「お忙しいところすみません。」と添えて。

少しして、事務の担当スタッフから連絡があった。

まず、謝らないでほしいということ、そして頼ってもらえて嬉しいといったことが書かれていた。

どうやらこの世界には、私とは真逆で、心から誰かの役に立ちたいと思っている人がいるらしい。

#9  『全部めんどくさい、で逃げていた。』


もはや相談所のスタッフとは、きっと人の世話をするのがものすごく好きな方たちなんだろうな、と思った。まぁそれを仕事にするくらいだもんね。

自己PRの文章に関しては、ある資料が送られてきた。
これを参考にしながらまずは書き進めてみてほしい。不完全でもいい。完璧を目指さなくていい。箇条書きでも乱文でもいい。できるとこまで進めてみて、アドバイスが必要になったらまた連絡してください、といったことを言われる。


資料を見ると、書き方のコツ、どんな文章を書くと、自分の魅力が伝わりやすいのか、とかそれはもうたくさんのアドバイスが書かれていた。でもよくみたら、これは契約の時に説明されていたものと同じ資料だった。

そうだった…

「読むのが面倒」で片付けていた…
「わからない」と逃げていた…


服装についても教えてくれた。なんでも、どの服がいいとか悪いとか、どの
ブランドがいいとか悪いとか、そういうことではないらしい。

しまむらでもユニクロでもいいけれど、「私に似合う」「私自身のテンションが上がる」ことが一番大事と聞いてびっくりした。
それよりなにより、笑顔が1番のお化粧、だそうだ。

花柄ワンピースとか、ふわふわひらひらブラウスじゃないとダメだと思い込んでたけど..

花柄だから結婚できるとか、ないよね。
ハイスペ男性を落とせるような文章なんて、ないよね。


「どうしたらいいか」と聞きながら、実は逃げてただけ。

知らぬ間に、傷つくことから身を守っていたのかもしれない。


「あぁ私、怖いんだな」と思った。


何通かのLINEのやりとりをして、そのまま、次回のカウンセリングの日を予約した。この日に、最終的なプロフィールの仕上げをすることにした。

頼れるものにすがることはいつだってできる。
でも、甘えてばかりじゃ何も変わらない。

カウンセラーさんにだったら、笑われてもいい。

自分を振り返って、文章を書き、
自分らしい写真を撮ることに決めた。

活動を開始する日は、5月1日。
せっかくなら4月1日の方が始まり、という感じはするけれど。それでもいい。少しズレてるくらいが私らしい。

扉を開くその日は、あと2週間後まで迫ってきた。


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こちらは、事実を基にした完全ノンフィクションです。
登場するのは、架空の人物です。なお、記載のサービスの内容は、BOOK婚のサービスに基づいていますが、時期によっては一部変更になっている場合もございます。
代表カウンセラーのmoonが毎週1話ずつUPします。
読み物としてぜひお楽しみください。

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